まるでガラス細工 透明標本展・21美で開幕
「冨田伊織 新世界『透明標本』展」(北國新聞社主催)は26日、金沢21世紀美術館で開幕した。透明標本作家の冨田さんが魚から哺乳類まで多様な生き物の骨格を色鮮やかに染め上げた500点超を展示し、ガラス細工を思わせる造形美に来場者が目を凝らした。 透明標本は本来、骨格研究などの学術目的で製作されるもので、酵素などを使ってタンパク質や脂質を処理し、生き物の肉を透明化している。特殊な薬液に浸すことで、カルシウムを主成分とする硬骨は赤紫に、軟骨は青く染まり、内部構造が幻想的に浮かび上がる。 アジやタイなど食卓でおなじみの魚も透明標本になると小骨の一本一本まで鮮やかに染まり、繊細極まるアートに変貌。グロテスクな深海魚はカラフルに染色することで特殊な身体構造がさらに際立ち、来場者の目を引いた。 オタマジャクシがカエルに成長する過程や、陸上で暮らすカメと水生のカメの甲羅の違いなども透明化することで分かりやすく観察でき、子どもらが間近でじっくり鑑賞を楽しんだ。 会期は5月26日まで。入場料は一般千円、中高生800円、小学生600円。