米メタ、ロシア国営報道機関をSNSから排除 情報工作で
米交流サイト大手メタ(旧フェイスブック)は、ロシア国営メディアのロシア・セボードニャやRTが情報工作に利用されているとして、これら報道機関のコンテンツを自社の製品から削除した。これに先立ち、米政府はロシアの国営報道機関に対する新たな制裁を発表していた。 メタは自社が運営するソーシャルメディア(SNS)のフェイスブック、インスタグラム、ワッツアップ、スレッズから該当する報道機関のコンテンツを削除した。同社は「慎重に検討した結果、当社が行っているロシアの国営報道機関に対する取り締まりを強化した」と説明。「ロシア・セボードニャとRT、およびその他の関連組織は、外国への干渉を行っていることから、全世界で当社のアプリから削除する」と発表した。 米国務省は現在、RTが単なる報道機関からサイバー能力を備えた組織へと移行し、情報工作や秘密の影響力行使、軍事調達などを行っているとみている。同省のアントニー・ブリンケン長官によれば、RTは昨年、ロシア情報機関と結びつきのある新たな部署を立ち上げた頃からサイバー能力を増したという。同省は、米州、欧州、アフリカなど、世界中がロシアの作戦の標的になっていると警告。米政府はこうした組織や個人が拡散した内容に対してではなく、「秘密裏の影響活動」に対して措置を取っているのだと説明した。 米国の制裁は、英国をはじめとする他の西側諸国から歓迎されている。英外務省の報道官は次のように述べた。「米国の情報によれば、RTは世界中で情報工作を行い、秘密裏に影響力を行使している。こうした活動は、情報工作や陰のネットワークを利用して政治的暴力をあおり、世界中に反政府思想を広めることで、他国の民主主義の基盤を揺るがしている」「RTの支配で、ロシア国家の二面性が明らかになった。つまり、うそを広め、世界の安全保障を脅かし、ウクライナへの違法な侵攻を続けるために報道機関を武器にしているのだ。われわれは真実を隠そうとするこうした粗雑な試みを目にしてきたが、それらは失敗している」 2022年のウクライナ侵攻を受け、メタは欧州連合(EU)、英国、ウクライナに拠点を置く複数のロシア国営報道機関を自社の製品から排除した。それ以降、投稿数やエンゲージメント率(訳注:ある投稿に対する反応の割合)が急激に低下したことが、SNSの解析を専門とする米グラフィカによる外部調査から明らかになったという。同社はさらに、ロシア国営報道機関による広告掲載を禁止し、それら報道機関のコンテンツがフィードの下方に表示されるようにするとともに、こうしたコンテンツを共有する際に利用者に確認を求める機能を追加した。 今回の動きは、こうした制限を大幅に拡大するものだ。メタは影響力のある人物に対し、特定の社会的・政治的な話題を増幅させようとする企てに対して警戒し、情報セキュリティーを最新の状態に保つよう強く奨励している。
Emma Woollacott