アメリカザリガニひらい×MUTANが『グーニャモンスター』派生2タイトルを共同開発。配信番組で視聴者も参加して作り上げた不思議な企画“Project休日返上”の顛末に迫る
お笑い芸人であるアメリカザリガニ平井善之氏と、『グーニャモンスター』などで知られるMUTANが運営する企画“Project休日返上”。これはYouTubeの配信内で視聴者といっしょにゲームを企画し、MUTANがその企画書に則って実際に制作してみるという視聴者参加型の企画だ。 【記事の画像(12枚)を見る】 ゲームが大好きで、常日頃から「ゲームを作りたい」と語る平井氏が中心になっていることと、48時間耐久配信などを行ったことで話題になった。 本稿では平井氏、MUTANの渡邊弘之氏、梅澤友香氏へのインタビューと、この企画で制作された『スラッグのシスターディフェンス』、『クリオネのボムボムスイーパー』について取り上げていく。 平井善之(ひらいよしゆき): お笑いコンビ・アメリカザリガニのボケ担当。バーチャル漫才師“アメリカザリガニひらい”として、ゲーム配信などの活動も行っている。文中は平井。 渡邊弘之(わたなべひろゆき): MUTAN代表取締役。文中は渡邊。 梅澤友香(うめざわともか): MUTAN広報・プロモーション担当。文中は梅澤。 喫煙所で偶然の出会いから始まった視聴者参加型の企画“Project休日返上”とは ――“Project休日返上”とは、どのような企画なのでしょうか?: 渡邊: MUTANとアメリカザリガニの平井さんによるプロジェクトです。YouTubeの配信内でゲームの企画会議を行い、視聴者さんの意見なども吸い上げつつ、“ライブにゲームを作る”という趣旨で活動してきました。配信は私と、広報の梅澤、 『グーニャモンスター』運営ディレクターのカミダ、弊社VTuberのアリステティア・ランフィール、そして平井さんが参加するという形で行っていました。 梅澤: 弊社の 『グーニャモンスター』のアセットを利用しつつ、カジュアルゲームとして派生作品を作る試みは行っていて、すでに4作品出しています。今回はそれを平井さんや視聴者さんといっしょに企画会議から行う、という形です。 ――“休日返上”という企画タイトルが意味するところは?: 平井: おもに48時間耐久配信の、“48時間”という部分です。だいたいは土日の2日間が休みの人が多いでしょ? あとは生産ラインにないタイトルを急に作るとなったときに、エンタメ的におもしろい言いかたはないかなぁと模索して、「休日を返上する」という形にしました。 渡邊: それこそ昔は休日を返上してオリジナルゲームを作る、なんてことをクリエイターはやっていたのですが、いまはそういう時代でもないですし。ただ、そういう意気込みのあるメンバーでやりますよ、短期間でいいものを作りましょう、という意味も込めていますね。 梅澤: まだこの企画が社内で共有されていないときに、社内カレンダーに“休日返上ミーティング”と予定を書き込んで、めちゃくちゃ心配された思い出があります(笑)。 ――平井さんはどういうキッカケでこの企画に参加する流れになったのでしょうか? 渡邊: 徳島県で開催される“マチ★アソビ”というイベントがあるんですけど、そこに弊社が出展していて。ステージイベントで平井さんと関わったこともそうなのですが、喫煙所に行ったらほぼ毎回平井さんがいたんです(笑)。ですよね平井さん? 平井: そうなんですよ。イベント会場の喫煙所でも、空港の喫煙所でもお会いしてそこで話に花が咲き……帰りの飛行機の便もいっしょでしたもんね。 梅澤: 本当に偶然が重なりました(笑)。 平井: そのあと 『グーニャモンスター』を配信で遊ばせていただくこともありましたし、徳島が繋いでくれた縁、と言っても過言じゃないかもしれない。 『グーニャモンスター』 ――“Project休日返上”の企画がどうやってできあがっていったか教えてください。: 梅澤: 確か最初にお会いしたのが2年前くらいで、「なにかいっしょに企画をやりたいですね」とジャブを打ち始めたのがちょうど1年前くらいですよね? 平井: そのくらいの時期だったと思います。 梅澤: 平井さんといっしょにゲームを作る、ということになって、でも「ただ企画会議をするだけではおもしろくないから、それを配信上でやるのはどうか」という話になったんです。 平井: どうやってゲームが作られていくのかはみんな興味があるだろうし、その過程を見ながら作ったらおもしろいんじゃないかと。多くの場合、ユーザーが目にするのって完成品じゃないですか。それだけじゃなくて、できればその間の工程も知ってもらいたいなと思いました。 渡邊: ゲームジャムみたいに短い期間でゲームを作り上げるということをやってみたかったので、48時間耐久ということにして、その時間内でどれだけできあがるかを視聴者さんにもいっしょに見てもらう、という取り組みを考えました。ただ、企画も含めて48時間となるとけっこうきびしいので、まずは企画会議も別枠の配信でやろうということになりました。 『クリオネのボムボムスイーパー』 ――タイトなスケジュールで進行した企画でしたが、平井さん的に不安のようなものはあったんでしょうか。: 平井: 僕個人の、というよりは、MUTANさんがどれだけこの作品にリソースを割けるか、という問題でしたね。 渡邊: 僕は企画会議で上がった要望が技術的に難しい、スケジュール的にきびしいものだった場合、それを止めるストッパー役のつもりで挑んだのですが……フタを開けてみると、そこまでたいへんなコメントはありませんでした。視聴者さんも平井さんのファンの方がほとんどだと思うんですけど、みなさんやさしかったですし。 平井: うーん、きっとみんな大人なんでしょうね。平和でした。 『スラッグのシスターディフェンス』 ――このプロジェクトを行ってみて、手応えはいかがでしたか?: 平井: 我々からのザックリとした「こうしたい」という要望から意図を汲んで、より具体的に抽出して表現できる方がMUTANには揃っているんだなと実感しました。 渡邊: 通常の企画会議ですと、当然クリエイターたちだけで行うものなので、“ユーザーさんが求めるもの”と“開発側がやりたいこと、やれること”がわからず行き詰まってしまうことも多々あるんですよね。でもこの企画は視聴者さんもリアルタイムに参加しているため、わからなかったら質問すればすぐ返ってくる、というのは新鮮でしたし、助かった部分でもあります。 あと、リスナーの意見を具現化するために開発がとてもがんばってくれました。 梅澤: 私も同じです。次回の配信までには進化した姿を見せたい! というモチベーションにもなりましたし、ユーザーさんの完成したゲームへの期待感のようなものも感じられたので、双方にとってメリットのある取り組みだったと思います。 “Project休日返上”で生み出された2作品。 ――このプロジェクト中の出来事で、平井さんの印象に残っているエピソードなどありますか?: 平井: やっぱり、東京ゲームショウへの出展じゃないですか? この企画のゲームをみんなが遊んでいるところを見られたことですかね。 渡邊: MUTANとして出展は決まっていたんですけど、 『スラッグのシスターディフェンス』と『クリオネのボムボムスイーパー』のプロトタイプも試遊ブースに出すことは、わりと直前に決めました。 梅澤: 確か、9月中旬くらいの配信で言っていますね。東京ゲームショウは9月末の開催だったので、本当にギリギリで(笑)。 平井: みんなブースで「すごい、遊べる!」って楽しそうにしてました。いや、ゲームだから遊べるのは当たり前なんですけど。制作の過程をみんな見ているので、現物として目の前にある感動があったんじゃないですかね。やっぱりゲームは楽しく作るものだし、作る過程もエンタメになり得るんだなと思いました。 ――Steamストアページが公開され、いよいよ配信予定日も決まりましたが、いまのお気持ちを聞かせてください。 平井: 遊んでみての皆さんの感想が楽しみです。きびしいコメントもお待ちしております! 無反応がいちばんさみしいので。 渡邊: そうですね。コメントがあれば僕たちも今後のアップデートや開発の参考にさせていただくので、ぜひよろしくお願いいたします。 『スラッグのシスターディフェンス』、『クリオネのボムボムスイーパー』のSteamストアページが公開 “Project休日返上”で企画、制作された『スラッグのシスターディフェンス』、『クリオネのボムボムスイーパー』の2作品のSteamストアページが公開。発売日は2025年2月4日予定となっている。 本作は『グーニャモンスター』のキャラクター×カジュアルゲームというテーマで生まれた派生作品で、すでに『オクトのバルーンチャレンジ』、『スネイルのぶっとばした~い!』、『トードのソウルホッパー』、『ピラルクのマネーラッシュ』の4作品がリリースされている。 このシリーズは昨今、開発費と開発期間が膨大になりがちなゲーム制作の現場で、あまり場数を踏めない若手クリエイターたちのために短期間で制作を行う施策とのこと。“Project休日返上”では平井氏と配信の視聴者が加わった形で、この施策が為された。 最愛の妹を守り抜く『スラッグのシスターディフェンス』 本作は妹・スネイルが大好きなお兄ちゃん・スラッグをメインとしたタワーディフェンス×ローグライクアクション。タワーディフェンスならではの武器の配置、耐久、などの要素がありつつ、『グーニャモンスター』らしいアクション要素も加わった作品となっている。 ちなみに、タイトルの“シスターディフェンス”は「スラッグなら妹を全力で守りに行くよね」という視聴者の提案で決定したものだそう。 ・タイトル:スラッグのシスターディフェンス ・ジャンル:カジュアル ・プレイ人数:1人 ・プラットフォーム:Steam ・発売日:2025年2月4日(予定) ・価格:【アーリーアクセス版】399円[税込] ・表示対応言語:日本語/英語/中国語(繁体字・簡体字) 迫り来る爆弾を回避&解除『クリオネのボムボムスイーパー』 本作はクリオネを操作して挑むマインスイーパー×シューティングの作品だ。 クリオネはやさしく気弱な性格と、強気で気ままな性格の2つの人格を持つキャラクター。その二面性をゲームシステムに落とし込み、優しい性格のときは爆弾解除が、強気な性格のときはたくさんのブロックを破壊できるようになっている。 ・タイトル:クリオネのボムボムスイーパー ・ジャンル:カジュアル ・プレイ人数:1人 ・プラットフォーム:Steam ・発売日:2025年2月4日(予定) ・価格:【アーリーアクセス版】399円[税込] ・表示対応言語:日本語/英語/中国語(繁体字・簡体字)