無能の鷹

【TV視てますか？】 定番とも言える平仮名4文字タイトルの「おむすび」で無難に（？）NHK朝ドラ初挑戦のスタートを切った脚本家の根本ノンジだが、テレビ朝日の金曜ナイトドラマ「無能の鷹」の脚本も書いているとは、正直、驚き。さすが「正直不動産」シリーズを手がけただけのことはある。 「監察医　朝顔」「サ道」の両シリーズに加え、「ハコヅメ～たたかう！交番女子～」「パリピ孔明」と、根本は軒並み人気漫画を原作に選び、巧みに連ドラ化している。 「おむすび」は根本ドラマには珍しいオリジナル作品。「虎に翼」との違い（落差？）を否定的にとらえる向きもあるが、根本お得意の漫画チックなニュアンスを随所にちりばめながら〝平成〟の時代相を描く貴重な朝ドラになりそう。正しい意味での箸休めと思って気楽につきあい、存分に楽しめれば、まずはそれで十分だろう。 むしろ、ただものじゃないドラマだなと初回から思わせたのが「無能の鷹」だ。ルーティンのように人気コミックスを実写化。無難な平仮名4文字どころか、4文字ながら重々しい漢字仮名交じり。コメディーらしからぬ字面に一瞬たじろいだが、キャッチコピーが振るっている。 ＜見た目は有能、中身は無能！？＞ その役、誰がやるの？　菜々緒！？　そう分かった途端、見る前からツボにはまってしまった。 パリッとした服で丸の内のオフィス街をカツカツ歩き、＜有能オーラが半端ないのに、PCの起動も、コピーも、資料のホチキス止めも、何が分からないのかも分からない！　想像を絶するレベルに圧倒的無能なのに全然気にせずすがすがしく生きる＞ヒロイン・鷹野ツメ子。 とはいえ、爪を隠していた鷹が最後は…というのが、忠臣蔵や水戸黄門を持ち出すまでもなくドラマの常。なのだが、初回を見るかぎり、どうもそうではなさそう。大仰に言うなら〝コペルニクス的転回〟的ドラマということになろうか。 無能に見える同僚（「光る君へ」で一条天皇役の塩野瑛久）とのタッグも魅力十分だ。　（新橋のネクタイ巻き）