青森3区木村さん落選「私に対する評価」
午後11時過ぎ、当選確実の報に喜ぶ対立候補の映像がテレビに流れると、青森県弘前市にある木村次郎さんの事務所では陣営から「ああ」と力ないため息が漏れた。最前列の席で身動きせず結果を待っていた木村さんは唇をかみしめ、「今回の結果は私の不徳の致すところ。支持してくださった皆さま方に大変申し訳ない」と語り、深々と一礼。支持者やスタッフに「ありがとう」と繰り返した。 過去2回の選挙戦では対立候補の約2倍の得票で圧勝し、今回も当初は当選が確実視されていた。だが、自民党派閥の裏金事件に自身も関与し、批判を受けての選挙戦に。異変は初日から表れていた。 公示日の15日朝、弘前市役所前での第一声には選挙区内の自民系県議や弘前市議らが顔を並べたが、一般の聴衆は30人足らず。「関係者の方が多いんじゃないか」と驚く議員もいた。 街頭演説では、日時と場所を告知したのに十数人しか集まらないことも。「自分の支持者に木村さんへの投票をお願いしにくい」（地方議員）との声も聞かれた。超短期決戦で選挙態勢づくりも出遅れた。 中盤からはミニ街頭を1日40～50カ所に増やし、住宅地や農地に分け入って支持を呼びかけるなど追い上げを図った。22日、人気のある小泉進次郎氏の応援演説では約千人の聴衆を集め、関係者らは「この勢いを逆転につなげる」と意気込んだが届かなかった。 父の故・守男さん、兄の故・太郎さんから引き継がれた組織は選挙で圧倒的な強さを誇り、「木村王国」ともいわれた。敗戦理由を問われ「木村王国が（敗れた）ということではなく、私自身のこれまでの活動に対する評価だ」。今後については「後援会や支持者、有権者と対話を重ねる中で考えたい」と述べた。
