桃井かおりさん「全部チャラにして始める」72歳の今語る“70からの年齢との向き合い方”
現在LAを拠点に俳優、監督、プロデューサーなど、変わらず多彩に活躍する桃井かおりさん。俳人の種田山頭火にちなんで、信念を貫いた生き方で多くの人々に感動を与えた文化人・表現者を顕彰する「第6回 種田山頭火賞」を受賞されたばかりで、11月2日には新刊『桃井的ことば』(KADOKAWA)をリリース。 以前から幅広い世代に人気の“桃井語録”を1冊にまとめたこの本は、「三十過ぎたら同い年/五十で出来たさかあがり/七十から要らないのは 今までの自分」という書から始まります。72歳を迎えた今、ご自身の年齢や取り巻く環境にどう向き合っているのでしょう? お話を伺いました。
「自分の姿はちゃんと自分で見えるようにする」
本の始まりに書いた「七十から要らないのは 今までの自分」というのは、ほんとに実感なんだよね。ちょうど64で結婚して、結婚式挙げて、それで3年くらい経ってコロナじゃん。そこから3年くらい時間が止まったわけだよね。今年の誕生日にコロナも落ち着いたからみんなで集まってご飯食べた時に「72歳ってことはないでしょ! 72にはなってないと思うよ」って、私本気で言っちゃったわけ。でもほんとに72になってたわけよ。 それで最近日本に帰ってきて日本のテレビ見るじゃない? ドラマとか。知ってるやつが全員おじいさんおばあさんになってるわけ。なんでこんな年食っちゃってんの!?って。自分がまだ美しいって言ってるんじゃないのよ、そうじゃなくて、年を取っていくってことは、自覚できるもんじゃないのよ。
そういう意味では日本の人から見れば、私が急に老けちゃって浦島太郎だわって感じで見てるんだろうし。そういうふうに、年を取るっていう実感は70過ぎても持てないのよ。ただ、確実にそういうふうに扱われていくのね。それがモテなくなるよりも、もっとあからさまに。 だからさ、「私いくつに見える?」って聞いて、数多く答えたい。「80超えてんのよ、ほんとは」みたいなのがいいわけでさ。「92なんですよ」「えっ、80にしか見えない!」みたいな(笑)。昔、先輩の女優さんで「私、あなたの年の頃はもっとキレイだったわよ」みたいな闘いをする人が時々いたんだよね。このおばさん何言ってんのかなあって思ってたんだけど、そうならないようにね、自分の姿はちゃんと自分で見えるようにしとかなきゃ。