3連覇を狙う大津が、高さを生かした得点を重ねて決勝へ
11月とは思えない30℃を超える気温となった5日、熊本市水前寺競技場で第102回全国高校サッカー選手権熊本予選の準決勝2試合が行われ、第1試合では、3連覇を狙う大津と、2年ぶりの決勝進出を目指す秀岳館が対戦した。 【フォトギャラリー】 大津 vs 秀岳館 大津は卒業後にJ2水戸入りがすでに発表されているFW碇明日麻と稲田翼が2トップを組む4-4-2の布陣。対する秀岳館は、4-2-3-1をベースに、守備時は4-4-2の3ラインを形成するフォーメーション。 ゲームは序盤から、ピッチを広く使いながらサイドで起点を作る大津が押し込む展開に持ち込み、左右からの早いタイミングでのクロスやロングスローから秀岳館ゴールに迫る。 しかし秀岳館は出足の早い対応でブロックの中に入れさせず、12分に大津のMF嶋本悠大が迎えた決定的なチャンスもセンターバックの玉城航がカバーに入って阻止するなど、入ってきたボールに対してはGK本田硬靖を中心に守備陣が体を張った対応で得点を許さない。 逆に13分、MF原田昂征のドリブルでの仕掛けで得たコーナーキックから、最後は右から小泉徹明が詰めるがクロスバーを直撃。さらに22分には、右コーナーから中央で押し込んだかに見えたがハンドの判定で得点ならず。 優位に進めながらも得点に結べていなかった大津は、30分、ロングスローから迎えたチャンスは決められなかったものの、再び得た2本目のロングスローからMF兼松将が押し込み先制に成功、1点リードで折り返した。 追う秀岳館は後半からMF井上幸希を送り出すと、その井上の仕掛けなどから立ち上がりに攻勢をかける。しかし大津もGK坊野雄大の安定した反応でゴールを割らせず、48分、先制点同様、ロングスローから碇がつなぎ、再び兼松が決めリードを広げると、53分にも右コーナーの流れから吉本篤史がゴールを挙げて突き放した。秀岳館は、個人技を活かした局面の打開から大津ゴールに迫る場面を増やしたが、60分に得たPKのチャンスを決め切ることができず。それでも73分、相手陣内でのスローインからのボールをしっかりつなぎ、最後は橋本尚紀が決めて一矢報いた。 初戦の準々決勝、東海大学熊本星翔とのゲームでは大勝した大津だが、「コンディショニングがうまくできず、選手権ならではの緊張などもあって体が切れていなかった」と、先月末に顧問の立場から就任することになった宮崎祐介監督。それでも、「碇、兼松、五嶋とターゲットになれる選手が多く、プレミアリーグでも得点が取れている」(宮崎監督)という強みである高さを生かして結果につなげたのはさすが。決勝に向けては「ドリブルでバイタルへ入られる場面が多かったので、守備の優先順位を整理することと、ボールを受けることを怖がっているところがあったので、その点を確認したい」(同監督)と課題を挙げる。 一方、「高校総体でベスト16で敗れてから、選手はよくやってくれた」と話すのは、今春就任した秀岳館の広山晴士監督。「これまでの良い部分は残して新しいものを発信できれば」と、個人技術をベースにしながら状況に合わせた判断を求めるスタンスで、自陣低い位置から足元でつないで相手の間を取りながらボールを運び、積極的に個でしかける姿勢は、結果にはつながらなかったが新年度への可能性も感じさせた。 (文・写真=井芹貴志)