呉美保監督×吉沢亮主演。“きこえない母”と“きこえる息子”の物語「ぼくが生きてる、ふたつの世界」
耳のきこえない親を持つコーダ(CODA=Children of Deaf Adults)として生まれ育った作家・エッセイストの五十嵐大によるノンフィクション『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと』を、監督・呉美保(「そこのみにて光輝く」「きみはいい子」)× 主演・吉沢亮(「キングダム」「東京リベンジャーズ」)× 脚本・港岳彦(「正欲」「アナログ」)で映画化した「ぼくが生きてる、ふたつの世界」が、2024年に全国公開される。 宮城県の小さな港町に暮らす五十嵐家に男児が生まれ、両親と祖父母は〈大〉と名付けて喜ぶ。他の家庭と少しだけ違ったのは、父・陽介と母・明子の耳がきこえないこと。幼い大には、母の“通訳”をするのも“ふつう”の楽しい日常だった。しかし成長とともに、周囲に特別な目で見られていることに戸惑い、苛立つ。そして母の明るさすら疎ましく思い始め、冷たい態度をとることが増えていく。 心を持て余したまま20歳になり、逃げるように東京へ旅立つ大。“きこえない世界”と“きこえる世界”を行き来してきた彼は、数年後の帰郷したある日、母への思いがけない気持ちを溢れさせる……。
〈コメント〉
■呉美保監督 原作を読み、きこえない両親に育てられた五十嵐大さんの人生に触れ、コーダならではの情緒と葛藤に、まだまだ知らない世界はあるのだなと無知を学びました。 と同時に、親と子の極めて普遍的な感情にも触れ、自分自身の家族へのいつかの懺悔が一気に蘇り、これはマイノリティには留まらない、大いなるアイデンティティの物語だと、強く思いました。 久しく映画作りからは遠ざかっていましたが、いつか復帰できるなら絶対にこの方と、と勝手に心に決めていたのは吉沢亮さんです。彼の、繊細かつ制御された芝居の奥底にある魂の叫びを覗き見たくて、さらにはまだ見ぬ新しい吉沢亮に出会いたくて、9年ぶりの長編映画に臨むに至りました。 ■主演:吉沢亮(五十嵐大 役) 感情の内側までも表現してくれる手話は口以上に多くを語り、言葉とはただ吐き出すものではなく、伝えるものであると言う、当たり前であるはずのことを改めて教えてくれました。 コーダとして生まれた葛藤を抱えながらも、両親から沢山の愛を受けて育った五十嵐大さんの人生を、昔からご一緒したいと夢見ていた呉美保監督と共に丁寧に生きさせてもらいました。お楽しみに。