【大学野球】「これからが楽しみ」と高橋由伸氏も高評価 代表投手陣をけん引する中村優斗
芽生えた自覚と責任
3月には井端弘和監督が指揮する侍ジャパントップチームに招集された。欧州代表との強化試合第2戦では1回無安打無失点に抑え、当時の自己最速タイ157キロを計測した。 初めて日の丸を背負い、中村には自覚と責任が芽生えた。45人が参加した大学日本代表候補選考合宿の3日目(6月24日)には、練習をけん引する主将役を任された。指導スタッフからの中村へ対する期待の表れだった。 「すごい選手が集まっている中で、その中でリーダーシップを取るのは難しかったです」 そして、こう続けた。 「トップチームを経験して、大学代表に入れないということだけは避けたかったので、入れてうれしい半面、自分が引っ張っていかないといけない。直前合宿では、常に周りを意識しながら練習しています。このチームでは主将・印出(印出太一、早大4年・中京大中京高)がけん引しているので、付いていく。良い感じでチームはまとまっていると思います」 高校時代は就職を見据え、農業土木科に在籍し、将来は公務員を見据えていたという。だが、人生とは分からないものである。愛知工大・平井光親監督(元ロッテほか)から素質を認められ、大学で努力を重ね、ドラフト1位候補に浮上した。中村の原動力となっているのは探求心、向上心に尽きる。 「投げることに関しては、自分から学ぶことが好きというか、最先端の情報をひたすら探りながら、自分の能力を高めようとしている」 入学から4年後の姿を、想像していたのか? 「まったく想像できなかったんですけど、大学に入った段階で、自分の中でプロへ行くために選んだ道と決めていました。今、大学日本代表に入れてうれしい一方で、夢をかなえたい。心の中にあります。ドラフト1位で行きたい思いが強いので、今回の遠征、秋のリーグ戦、ドラフトまで自分の最大限のパフォーマンスを出せるようにやっていきたいです」 チェコ、オランダでの国際試合は、プレーヤーとしてのステップの場だ。「海外での試合は、誰しもが経験できることではない。1試合を大事に戦っていきたい」。すべてを吸収し、自らの力になる要素を取捨選択し、成長へとつなげる能力がある。中村には大学日本代表のエースナンバー「18」がよく似合う。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール