岐阜県内初の女子硬式野球チーム、あす２２日公式初戦 元高校球児が発足に奔走
女子硬式野球で岐阜県内初のクラブチーム「岐阜水都ハリーズ」が22日、初めての公式戦に臨む。チームは西濃地域を中心に活動。県内の高校生以上の女子硬式野球チームは岐阜第一高校（本巣市）しかなく、県外へ流出したり、引退を余儀なくされていた選手らの受け皿をつくろうと、伊藤晋平代表（36）=大垣市=らが昨年立ち上げた。伊藤代表は「野球界と地域の発展につながれば」と思いを語る。 大垣市でクライミングジムを営む伊藤代表は、市岐阜商業高硬式野球部OBの元高校球児。高校卒業後、大垣市の企業の軟式野球部でプレーしたが、10年ほど前に会社を辞め、同時に野球も引退した。 しかし、おいやめいが野球を楽しむ姿を見て「自分も野球を通しかけがえのない仲間に出会えた。野球界に恩返ししたい」との思いが芽生えた。「女性が増えれば、長期的な裾野拡大につながるはず」と考え、女子硬式野球に着目した。 女子野球は年々、人気が高まっている。全日本女子野球連盟によると、2023年の全国の中学生以上のチーム数は119チーム、競技人口は2937人で、2015年から倍近く増えた。一方、県内にはクラブチームがなく、競技を続けるのが困難だった。 そこで、軟式の中学女子チームで指導経験があり、同じ不破郡垂井町出身で同高硬式野球部OBの後藤啓介監督（47）にチーム創設を相談。後藤監督も「続けたくても続けられない子をたくさん見てきた。できることがあれば協力する」と背中を押し、22年夏、設立に向けて動き出した。 チラシや交流サイト（SNS）などで選手を募ったところ、村木美空主将（24）=大垣市=ら2人が加入し、昨年9月にチームを結成した。伊藤代表は裏方を担い、スポンサー探しに奔走。西濃地域の中小企業を中心に10社ほどを集めた。後藤監督は知人の元高校球児に声をかけ、一緒に選手を指導し、二人三脚でチームを整えた。 チーム結成以降も、うわさを聞きつけたメンバーの加入が相次ぎ、現在、高校生から社会人までの7人が所属する。今回、部活動を引退したばかりの高校3年生5人が一時的に加入し、今月開幕の「秋季センタートーナメント」（中部女子硬式野球連盟主催）に出場する。 チームは活動目標の一つに地域雇用への貢献を掲げる。社会人選手に西濃地域の企業を就職先として紹介し、これまでに3人が採用された。短大生時代に愛知県の強豪でプレーした村木主将もその一人で、再び競技に臨むため岐阜市から移り住んだ。「地域ぐるみでチーム環境を整えてもらった」と感謝する。 試合は午前9時から。安八郡輪之内町中郷新田の輪之内アポロンスタジアムで愛知セントレアガールズ（愛知県）と対戦する。雨天延期。
岐阜新聞社
