ウィル・スミス、娘の曲がSpotifyで10億回再生を突破して大喜び
そんな羽ばたいていく娘に刺激を受けたのか、ウィルも音楽活動を活性化させている。2023年はHIP-HOPが誕生してから50周年という節目の年で多くのイベントが開かれた。その流れでグラミーが主催した特番の中で、ウィルは、DJ・ジャジー・ジェフ&ザ・フレッシュ・プリンスを再結成。ウィル・スミスではなく、ラッパー“ザ・フレッシュ・プリンス”として渾身のパフォーマンスをブチかました。最後は番組に参加していたLL・クール・J、パブリック・エネミー、クイーン・ラティファなどなど、大御所ラッパーたちが続々とウィルのステージに上がり、さながら紅白歌合戦の「蛍の光」のごとく大合唱を繰り広げた。この一幕は、ウィルのミュージシャンとしてのポテンシャルと、彼を取り巻く愛情深いコミュニティの存在を示すものだった。 そんなウィルと言えば、忘れられないのが2022年、アカデミー賞授賞式で司会者のクリス・ロックをブン殴った事件である。あの一件でウィルはアカデミーを出禁になってしまった。本人や家族も、もの凄くヘコんでいたが……あれから約2年、なんだかんだでウィルも家族も元気そうだ。一家はそれぞれのジャンルで活躍しているし、本人も忙しい日々を送っている。俳優としても『アイ・アム・レジェンド2(原題)』や『バッドボーイズ4(原題)』などの続編モノから、シリアスなインディーズ映画まで、何ならビンタ事件の前よりも幅広い企画が進行中だ。そんな忙しい合間を縫って、AIが作った「ウィル・スミスが素手でパスタを食べる」というフェイク動画を、ウィル自身が生身で完全再現する動画を作り、インターネットを大いに賑わせたりもしている。おもしろおじさんとしても絶好調だ。
日本のラッパー、ZORNが「武道館出禁になるのもHIP-HOP」と歌ったが、さながら今のウィルにとっては、「アカデミー賞出禁になるのもHIP-HOP」と言ったところか。俳優として、ラッパーとして、おもしろおじさんとして、活発な活動が予想されるウィルに、今後も注視していきたい。(加藤よしき)