「紅麹」サプリ、小林製薬が新たに76人の死者と摂取の因果関係調査…厚労省に報告せず林官房長官「極めて遺憾」
小林製薬の「紅麹(べにこうじ)」成分入りサプリメントを巡る健康被害問題で、同社が遺族からの相談を受け、新たに76人の死者について摂取との因果関係を調査していることがわかった。厚生労働省が28日、明らかにした。同社は厚労省が問い合わせるまでこうした事実を報告していなかった。
厚労省によると、同社から死亡事例に関する情報の更新がなかったため、13日に問い合わせたところ、27日になって、調査状況の報告があったという。
小林製薬の説明では、これまでに死者170人の遺族らから相談が寄せられた。このうち、91人はサプリを摂取していなかったことが確認され、3人は同社が医師に調査した結果、因果関係がなかった。
残る76人について、同社がサプリの摂取歴や死亡との因果関係を調べている。これらの中には、直接的な死因が肺炎や脳梗塞(こうそく)、がんなどの人も含まれているという。
また、小林製薬はこれまで死者を5人と公表していたが、その後の調査で、1人はサプリを摂取していなかったことが判明した。同社は残る4人のうち、2人を摂取との関連が「ないともいえない」、2人を「不明」としている。
一連の問題で、同社は今年1月半ばにサプリによる健康被害を把握したが、国や自治体への報告は2か月余りあとで、当初から対応の遅れが指摘されていた。
厚労省は同社に対して毎日、死者数などの報告を求めている。だが、厚労省から問い合わせがあるまで、新たな死亡事例について報告していなかった。
林官房長官は28日の記者会見で、「調査中の詳細な件数を報告しなかったということは、極めて遺憾」と述べた。
厚労省は小林製薬に対し、調査に関する遺族の同意の取得や、医療機関からの情報収集の進め方などについて計画を作成し、29日までに報告するよう求めた。
小林製薬は「速やかに報告すべきとの指摘を大変重く受け止めている。お客様からの問い合わせや補償への誠実な対応、原因究明などに全力で取り組む」としている。