第60回全国大学ラグビー選手権 印象に残った選手たち
第60回全国大学ラグビーフットボール選手権大会は帝京大の3年連続12度目の優勝で幕を閉じた。帝京大は第46回大会(2009年度)から15回の選手権で12度の優勝を成し遂げており、まさに黄金時代を築いている。来季も帝京大を軸に優勝争いは展開されそうだが、今大会は決勝で明治大が健闘、準決勝でも天理大が帝京大を苦しめるなど、好勝負も多かった。そんな中で筆者の印象に残った選手をピックアップしてみたい。
決勝戦の後半37分、ダメ押しトライをあげた帝京大HO江良颯キャプテン(4年)の責任感あるプレーは強く印象に残った。学生随一のHOであることは誰もが認めるところだが、強いスクラム、ラインアウトの正確なスロー、力強いボールキャリー、堅実なタックル、そして、ゴール前では確実にトライを奪う。そのすべてを出し切った決勝戦だった。その江良と大阪桐蔭高校時代からともに戦ってきたFL奥井章仁(4年)の突進力も図抜けていた。タックラーを弾き飛ばし、スピードで振り切ることもある。青木恵斗(3年)とのFLコンビは常にディフェンスの脅威になっていた。LO尹礼温も体を張ったターンオーバー、ボールキャリーで気を吐いた。BKでは3人のタックラーをかわして決勝戦で先制トライをあげたWTB高本とむ(4年)、ロングキックで地域を進めたFB山口泰輝(4年)の優勝への貢献度の高さ見逃せない。
明治大のキャプテン廣瀬雄也(4年)の奮闘も胸を打たれたが、明治大でもっともインパクトがあったのは、1年生WTB海老澤琥珀だった。準決勝での先制トライ、タッチキックを走り幅跳びのようにキャッチしてインフィールドに入れたプレー、そして、決勝戦では狙いすましたキックで50:22(フィフティトゥエンティトゥ)でマイボールのラインアウトを勝ち取るなど、華のあるプレーが多かった。準決勝で優れたランニングスキルを披露してトライを奪ったSO伊藤耕太郎(4年)も卓越した戦術眼で明治大のスピーディーな攻撃の軸になり、観客を沸かせた。