FRBの利下げ納得にはまだ不十分な見通し-市場が注目の2月CPI
(ブルームバーグ): 米労働省が12日発表する2月の消費者物価指数(CPI)について、利下げを開始しても安全だとパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる米金融当局者が納得する内容は見込まれないと、ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は予想している。
BEのエコノミストであるアナ・ウォン、スチュアート・ポール両氏は11日、2月のCPのうち変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数が前月比0.3%上昇となると予想。前年同月比では3.7%上昇と、2021年4月以来の小幅な伸びを見込んでいる。
両氏は「結局のところ、2月のCPIで金融当局が利下げのための自信を深めるのに十分明確な証拠が得られるとは予想されない」と指摘。ただ、「インフレと労働市場がさらに減速し、当局は5月にも十分な自信を待つようになる可能性がある」とコメントした。BEは5月に最初の利下げが行われることを基本シナリオとしている。
なお、1月のCPI統計では帰属家賃(OER)が前月比0.6%上昇と、予想を上回る大幅な伸びとなり、23年後半に見られたインフレ抑制の進展に疑問を生じさせたが、BEはこれを一時的な逸脱だとみている。
労働省はその後、帰属家賃急上昇の一因は価格上昇ではなく、一部のデータソースのウエート手法変更によるものだと説明した。
ウォン、ポール両氏は2月の家賃と帰属家賃がいずれも前月比0.4%の上昇に落ち着き、その後も24年を通じて伸び鈍化が続くと予想。居住費全体は年末までに年率4.0%の伸びに減速するとの見通しを示した。
また、新車および中古車を中心とした一部物品価格の低下がコアインフレ率の鈍化に引き続き寄与すると両氏はみている。BEの見通しはブルームバーグが調査したエコノミストの予想中央値に沿った数字となっている。
原題:US CPI Won’t Inspire Fed to Cut Rates, Bloomberg Economics Says(抜粋)