ノーベル賞とイグ・ノーベル賞を両方受賞した人っているの?
イグ・ノーベル賞受賞「カエルの磁気浮上」
イグ・ノーベル賞を受賞した「カエルの磁気浮上」は、強力な磁場を形成して、その中に生きたカエルを入れて浮き上がらせるもの。一見トンデモ科学みたいですが、英国の物理学専門誌『Physics World』にも紹介されているそうです。 もちろんカエルの体内に磁石を埋め込んで、というのではなく、カエルはカラダの中に多くの水を含んでおり、水は磁石に反発する「反磁性体」なので、強力な磁場の中では磁力に反発する力(反磁性磁気力)が生じる、ということ。上向きの反磁性磁気力と下向きの重力が釣り合うと、カエルは無重力(=微小重力と呼ぶそう)状態のように空中に浮遊するのだとか。同様の実験のいくつかはYouTubeで見ることができます。 ただし、カエルのカラダに反発力を生じさせる磁場の力は16テスラ……といってもさっぱり見当がつきませんが、昔「磁力の強さ」を表す単位だったガウスに換算すると16万ガウス。ひところ話題になった携帯電話が50ガウス、医療用のMRIで1.5~3テスラといいますから、その強さたるやケタ外れです。カエルは大丈夫? 血中の鉄分だってあるし……と心配になってきます。 それはさておき、こうした研究は現在さまざまな大学や機関で行われており、微小重力空間が生体や化学物質に与える影響、磁場や微重力空間の環境を生かした高分子技術などへの応用も期待されているそうです。
イグ・ノーベル賞を2回受賞した人は日本にも
今年は「バナナの皮」の研究という親しみやすい受賞テーマだったためか、なんだか身近に感じるイグ・ノーベル賞。これまで2回受賞した人が2人います。「ホメオパシーに関する研究」で1991年と98年に受賞したフランスの免疫学者ジャック・バンヴェニスト博士と、もう1人が北海道大学の中垣俊之教授。2008年と10年に「粘菌に関する研究*」でそれぞれ認知科学賞と交通計画賞を受賞しています。2010年の受賞時、中垣教授は公立はこだて未来大学で教鞭をとっていましたが、受賞チームには北大の先生が3人所属していました。同年は、クロスカップリングの研究で鈴木章北大名誉教授が化学賞を受賞しているので、北大はノーベル&イグ・ノーベルのW受賞。けっこうすごいことでは? *2008年の認知学賞は「単細胞生物の真正粘菌にパズルを解く能力があることを発見したこと」に対して、2010年の交通計画賞は「粘菌を使って最適な鉄道網を設計できることの証明」に対してのもの。 (文責・武蔵インターナショナル)