映画『ゴールデンカムイ』主題歌で再び脚光、ACIDMANのライブにいま行くべき理由
ACIDMANは、生命や宇宙をテーマにした独特の詩世界、静と動の両面を表現する壮大なサウンドで高い評価を集めてきたバンドだ。 【動画】久保茂昭監督が編集した『輝けるもの』ライブ用特別映像 テレビで頻繁に流れるような、わかりやすいヒット曲こそないが、デビュー当初から国内のさまざまなフェスに出演。自身でも出身地である埼玉で『SAITAMA ROCK FESTIVAL「SAI」』を主催するなど、ライブに重きをおいて地に足のついた活動を続けてきた。 映像にも並々ならぬこだわりを持ち、ライブでは映像とリンクした演出をするほか、映像とライブを融合させたイベントも開催。ボーカル・大木伸夫の宇宙愛から、近年にはACIDMANが音楽を提供、大木がプログラム監修およびナレーションを務めるプラネタリウムプログラムを制作し、各地で投影。2010年リリースの楽曲『ALMA』が国際天文学連合主催・アジア太平洋地域の天文学に関する国際会議「APRIM2023」のテーマソングとなるなど、独自のポジションを確立してきた。 ■ 『ゴールデンカムイ』の世界観に寄りそう彼らの音楽 だからこそ、大ヒット中の映画『ゴールデンカムイ』の主題歌をACIDMANが手掛ける、と聞いたときは、なんで今さら? と感じた人も多いだろう。近年、アニソンは新人バンドの登竜門と化しており、ACIDMANはそんな俗っぽいタイアップとは無縁のイメージがあったのだ。 だが、実際に映画を見て、エンディングに流れる主題歌『輝けるもの』を聞いて、これは彼らでなきゃだめだったのだ! と深く納得させられた。 荒々しくも繊細で静と動が共存するACIDMANの音楽は、泥臭い正義と美しいロマンが衝突する『ゴールデンカムイ』の世界観と見事に寄り添い、映画の一部としてそこに息づいていた。この緩急と混沌の果てのピュアネスは、若手バンドには出せないものだ。 事実、辛口な原作ファンの間でも「作品の世界観にぴったり」「鳥肌がたった!」と絶賛を集め、応援上映ではこれまでACIDMANを知らなかっただろう人々が『輝けるもの』を大合唱するという、まさかの光景が繰り広げられているという。 それに呼応するようにBSなどでもACIDMANの特集番組が次々に制作・放送。結成27年目にして、前代未聞の盛り上がりっぷり。これは、映画『スラムダンク』の主題歌で紅白出場の快挙を成し遂げた「10-FEET現象」も夢じゃない? ■「金」をキーワードにしたセットリスト、待望のワンマン そんな熱狂の渦中でおこなわれるワンマンツアー『ゴールデンセットリスト』は、往年のファンにとっても未知のエキサイティングな体験となることは間違いない。当日は映画『ゴールデンカムイ』にちなみ、「金」をキーワードにしたセットリストが予定されているそうで、どんな輝かしい世界を見せてくれるのか期待が募る。 全国のホールにて9公演開催され、京都公演はツアー初日の5月10日。しかも京都初のワンマンとなる。新たな冒険のはじまりをその目で見届けたい。チケットは6600円(学割4400円)、3月10日・朝10時から一般発売される。 文/井口啓子