親世代が「縁起でもない」と怒る「片づけ」を絶対に今からでもするべき「5つの理由」…実は一番得するのは親世代
子ども世代に降りかかる地獄の“老老片付け”
「親家片」本は、むしろ子ども世代のニーズによるものだと説明したが、超高齢社会となった日本では、子ども世代といっても大半がすでにシニア世代に入っている。ただでさえ親の家を片づけるのはたいへんなのだが、親が80代、90代でご存命となると、さらにやっかいなことになる。 シニア世代になってなお、これから親の遺品整理という難題に取り組んでいかなければならないというのが、日本が抱える大きな問題なのだ。 実家に住んでいる高齢の親世代は、片づけの必要性など認識していないことが多い。「自分はまだまだ健在だ」と思っているからこそ、簡単には片づけに同意してくれない。「片づけだなんて、『すぐ死ぬ』とでも思っているのか。縁起でもない」と怒りだしたりする。 理解してもらうには、子ども世代のメリットばかり主張するのではなく、親の立場で考えてコミュニケーションをとっていく必要がある。
「親家方」が親世代にもたらすメリットとは
家の中を片づけることは、なによりそこで住む人に大きなメリットがあることを理解してもらうといい。実際に、高齢になった親ほど多くのメリットがあるのだ。 1.掃除が楽になる 2.動線が確保されるので、動きやすくなってケガをしにくくなる 3.ものを探す時間が減る 4.ものに囲まれている精神的重圧感から解放され、広々、伸び伸びと生活できる 5.家の風通しがよくなり、健康的になり、人生観も前向きになる つまり「縁起でもない」というような話ではなく、高齢になった親にとって、「あなたのこれからの人生のためになりますよ」という実生活上の現実的なメリットがある。そのことを正しく理解してもらうようにする。自分にメリットがあることを知ったら、悪い気分にはならないものだ。「そのためにいっしょに片づけましょう!」と言って、親世代に協力してもらうのがいいのではないだろうか。 片づけの必要性を理解している子ども世代は、親の説得が難関だとわかっていることも多い。親子のコミュニケーションがうまくとれていないため、それが面倒で片づけを先延ばしにしていることさえある。 そのような場合には、「予行演習だ」と考えてトライしてみるのもいい。つまり、いずれ必要に迫られて家の中を整理しなければならなくなる現実があるのだから、思い立ったら親に相談して、たとえば居間だけでも片づけてみるなど、「分割処理」のやり方をしてみるのだ。 親が生きているうちに早めに相談しておくと、実家を取り巻くさまざまな事情についても知ることができるだろう。そうすれば、両親ともに亡くなり、必要に迫られて自分たちで遺品整理するようになった際の助けにもなる。 これら一連のプロセスが、いざというときの実際的な予行演習になることはいうまでもない。 『プロ直伝「遺品整理は絶対にここから始めて!」…知らないと訴えられる思いも寄らない注意点』へ続く
赤澤 健一(グッドホールディングス株式会社代表取締役社長)