釧路の中央埠頭に大型客船施設 将来ビジョンに盛り込む方針
コロナ禍で一時途絶えていたクルーズ客船の釧路港への寄港が増えているが、多くの客船が市街地から遠い西港区に入港している。東港区の耐震旅客船ターミナルが大型化する客船の受け入れに対応できないためで、西港の物流にも支障を来すことから、釧路市は年内にまとめる釧路港将来ビジョンに、東港区中央埠(ふ)頭(とう)での大型船受け入れ施設の整備を盛り込む方針だ。 今年度、釧路港へ寄港する予定のクルーズ客船は18隻(1隻は寄港中止)だが、そのうち同ターミナルに入港するのは9隻で、6万㌧を超える大型船9隻は西港第4埠頭に接岸する。 同ターミナルは、大規模災害時の緊急物資輸送拠点と旅客船受け入れ施設として、2011年に釧路開建が水深マイナス9㍍岸壁を整備した。しかし、近年旅客船の大型化が進み、水深や岸壁の長さ、係留施設などの面で対応できなくなっている。 客船の乗客定員は、10万㌧規模の船で2000人を超え、昨年入港した17万㌧の「MSCベリッシマ」は約5700人。客船が入港すると、釧路湿原など周辺の観光スポットへバスやタクシーで向かったり、北大通周辺の店舗を訪れる外国人観光客などの姿が見られるが、その経済効果は市の算定によると、クルーズ船1隻当たり平均1800万円(18年実績より)に上る。 しかし、西港周辺は商業施設などがないため、船内にとどまる乗客も多いという。また、西港は本来物流拠点で貨物船の通行量が多いが、客船が入港することでさらに利用が混み合う状況となる。そのため、将来ビジョン策定に向けて開いた懇談会では、「西港は乗客にとって不便で釧路のイメージ悪化が懸念される」「港の機能分担のため客船は東港で受け入れるべき」という意見が出ていた。 東港区中央埠頭には、荷物を一時的に保管する上屋5棟があったが、完成から50年以上が経過し老朽化したため近年利用が少なくなり、17年と19年に3棟が解体され、残る2棟も今年度から解体作業が始まっている。 市では、釧路港の目指すべき姿や導入する機能などを整理したうえで、25年度に釧路港長期構想を策定、26年度に港湾計画を改定する。
釧路新聞