まさか、こんなことまでできるとは…!海の賢者「タコ」を調べた結果、分かった「意外すぎる能力」
いまだに多くの部分が謎に包まれている不思議な生物・タコ。3つの心臓を持ち、人間にはない臓器を備えるなど、知れば知るほど驚きと発見に満ちた魅惑的な存在です。 【マンガ】南海トラフ巨大地震」の衝撃…そのヤバすぎる「被害の惨状」 そんなタコには「人間の目によく似た優れた視覚能力」があることをご存じですか? 実は迷路を解くことができるほどの高い能力と観察力を秘めています。 本記事では、「日本一のタコ博士」として知られる琉球大学の池田譲さんの著書『タコのなぞ 「海の賢者」のひみつ88』(講談社)より、タコの驚くべき視力の秘密に迫ります。
タコは人間と同じ目を持っている!?
見る、聞く、触る、嗅ぐ。これらは五感と呼ばれる人間の感覚です。五感のうち、人間はものを見る感覚、視覚に多くをたよっています。そのため、目が見えなくなるととても困ります。人間は視覚の動物なのです。 タコも視覚の動物です。タコの胴体(外套膜:がいとうまく)の下、頭の左右にちょっと眠たそうな感じの目があります。タコの目は人間の目ととてもよく似ています。大きな丸い球である眼球に立派なレンズがひとつはまった単レンズ眼と呼ばれる、とてもすぐれた目です。 タコは立派な目で外の世界をよく見ています。人間のような視力検査は難しいですが、円や三角形、四角形、十字形などの図形をタコは目で見て区別することができます。私たちと同じです。 形だけではありません。大きな丸、小さな丸、縦向きの長方形、横向きの長方形など、図形の大きさや向きもタコは区別することができます。これは目がよくないとできないことです。
タコは迷路を解くことができる!?
タコは迷路を解くこともできます。街のお店屋さんのように、外から見て真ん中に廊下があり、その左右に部屋がある装置で実験してみましょう。 タコから見て右の部屋には何も置かれていません。左の部屋にはガラス瓶が置かれています。瓶の中にはタコの大好物のカニが入っています。ショーウィンドウをのぞくように、タコはガラスの壁からふたつの部屋を見ます。そして、次にタコは廊下を通って迷わず左の部屋に入り、ガラス瓶を開けて、中のカニをまんまとご馳走になります。 廊下には不透明な壁があるので、右と左の部屋を廊下から見ることはできません。外のふたつの部屋から見たタコは、「ああ、左の部屋にはご馳走があるぞ」と思い、「ご馳走にありつくには廊下をまっすぐ進んで左に曲がればいいんだな」と考えたはずです。 カニはフタをしたガラス瓶に入っていたので、タコはにおいで場所をつきとめたわけではありません。タコは外から見ただけで、部屋がどこにあり、どこを通ればよいか理解したのです。こんなこと、よく見える目じゃないとできませんよね。タコはすぐれた視覚の持ち主なのです。 …つづきの<なぜ、そうなった…?プランクトンのなかで生活する「奇妙なタコ」を静岡で発見!その生態の謎を研究者が追った>ではタコの不思議な生態の秘密に迫ります。
池田 譲(琉球大学理学部教授)