「クイーンビートル」浸水隠し、JR九州の第三者委員会「刑事罰の可能性高い」と指摘
JR九州の完全子会社「JR九州高速船」(福岡市)が、博多港―韓国・釜山港を結ぶ旅客船「クイーンビートル」(定員502人)の浸水を隠して3か月以上運航を続けていた問題で、JR九州は21日、同社設置の第三者委員会がまとめた調査報告書を公表した。浸水を隠すために船内の警報装置を上部に移動させ、検査を受けずに運航したことなどが船舶安全法に抵触し、JR九州高速船や同社幹部が刑事罰の対象になる可能性が高いとした。
弁護士らで構成された第三者委は9月以降、浸水隠蔽(いんぺい)を決めたJR九州高速船の当時の幹部のほか、JR九州の担当役員らにヒアリングを行った。
報告書は、2月の浸水判明時の隠蔽判断について、代替船もなく韓国の旧正月で繁忙期だったとし、船首以外は水密が保持されていると考え、「(予約キャンセルによる)営業上の事情や社内事情を優先した」と指摘した。
親会社のJR九州のガバナンス(企業統治)については、「不祥事の再発防止を念頭に置いた積極的な関与は不見当(見当たらなかった)」とした。同社は運航再開を目指しているが、報告書は浸水が船首の同じ箇所で繰り返されていたことにも言及し、船体補強への抜本的取り組みが必要などとした。