日本報道検証機構・楊井代表に聞く(上) ── 捏造は外部検証が難しい
8月31日、ニュースサイト「Business Journal(ビジネスジャーナル)」は、同25日付のNHK特集に関する記事中に、事実誤認があったとして、「お詫びと訂正」を掲載しました。このお詫び記事では、取材しなかったにもかかわらず、NHKからの架空の回答を記事に載せたことを明らかにしています。また、今回のビジネスジャーナルの記事以外にも、取材のないまま、海外チームの選手や監督の対談記事などをまとめた一部サッカーメディアによる「エアインタビュー」疑惑が指摘されていて、インターネット上では「エア取材」「捏造記事」との批判の声が上がっています。 日本報道検証機構・楊井代表に聞く(下) ── 捏造・誤報をどう防ぐか なぜ、こうした記事の捏造が起こるのでしょうか。ネットメディア特有の問題があるのでしょうか。2012年からマスコミ誤報検証・報道被害救済サイトGoHoo(ゴフー)を運営している日本報道検証機構(WANJ)代表で弁護士の楊井人文さんに話を伺いました。
故意の捏造は外部検証が難しい
今回、架空の取材が問題になったビジネスジャーナルの記事について、楊井さんは「言うまでもなく、あるまじきこと」。誤報については、「日々いろんな記事を出す際に、間違いをすることは、避けられないリスクがある」とした上で、故意なのか、過失なのかが、重大性の判断基準のひとつになる、とみています。 しかし、一般的に故意の場合を「捏造」ということが多いものの、「わざとやったかどうかは主観的な部分になるため、外部検証が難しい」と指摘します。記事の誤りだけでは、うっかりミスとの見分けはできず、「今回はビジネスジャーナルが架空であることをお詫びして認めているため、捏造であろうと言える」というわけです。 ただ、「今回の記事は許されない前提」で、ビジネスジャーナル側が、編集部も確認を怠った責任があることや、NHKへの取材が架空であることなど、経緯を明らかにし、「比較的丁寧なお詫び記事で説明し、厳正な処分・再発防止に取り組むことを発表した」こと、その3日後には、サイトを運営する「サイゾーの名前と代表取締役の名前を出し、担当者の減給処分を発表している」点は、事後の速やかな対応として「評価していいと思っている」と言います。