ふるさと納税をめぐる基準見直しが、横浜市に重くのしかかっている。10月からは返礼品に関する地場産品基準の厳格化に伴い、同市で人気だった高額のホテル宿泊券が制限されるためだ。状況打開に向け、同市ではラグビーの日本代表戦観戦チケットや、新交通システム「横浜シーサイドライン」の試走線で電車を実際に運転できる体験会など新たな返礼品を準備し、対応する構えだ。 ■流出額1位の横浜 ふるさと納税による税収流出額が全国トップで知られる横浜市だが、令和5年度の流出額は過去最大の265億円（前年度比43億5千万円増）に達した。 一方で、寄付受け入れ額も前年度比約3倍の12億円に増加。市財源確保推進課によると、観光都市の横浜にとってホテル宿泊券は人気の返礼品の一つで、同課では、品ぞろえを充実させる方向で準備してきた。 ところが、6月に総務省が発表したふるさと納税のルール見直しで、10月からは「地場産品基準」の厳格化が盛り込まれ、1人1泊5万円を超える宿泊施設の利用券を返礼品とする場合は、同じ都道府県内のみで展開している施設に限定されることになった。 同課幹部は「昨年度からの取り組み強化の柱の一つとしてホテル宿泊券を活用した返礼品を開発してきた。一定の影響はある」と明かす。 ■観戦チケットが好評 そんな逆風下で新たな返礼品を模索。9月には、10月26日に日産スタジアム（横浜市港北区）で開催されるラグビーの日本代表―ニュージーランド代表戦の観戦チケットを返礼品として準備し、好評を博した。 9月から11月にかけては、同市金沢区などで運行する横浜シーサイドラインの電車運転体験会（11月9日と12月14日、各回定員8人、寄付金額6万円）を加え、10月1日からは国指定名勝の日本庭園、三渓園（横浜市中区）の施設整備費用などについて、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングによる寄付を募っている。 同市は今年度、ふるさと納税による寄付受け入れ額の目標を16億円に設定している。同課では「目標達成に向け、さらなる返礼品開発などを進め、横浜らしいふるさと納税を推進していきたい」としている。（橋本謙太郎）