蓮池薫氏・櫻井よしこ氏と考える拉致問題解決への道筋…北朝鮮のシグナルの背景を読む
暫定措置の失敗を繰り返さないためには日米韓の意思疎通が不可欠
長野美郷キャスター: 北朝鮮の非核化を求める交渉が難航する中、米NSC(国家安全保障会議)のラップフーパー上級部長が「非核化への道における暫定措置を検討する」と発言。 礒﨑敦仁 慶應義塾大学教授: トランプ政権もその考え方をしていた。北朝鮮の核を一瞬にしてなくすのは技術的にも不可能で、実際は暫定的な措置を積み上げていくことになる。それがバイデン政権からもかなり明確に発信されるようになった。 反町理キャスター: こういう暫定措置、段階的な対応にアメリカが舵を切っていることは、北朝鮮にとって外交的な勝利なのでは。 蓮池薫 新潟産業大学特任教授: 核の能力を高めて強いカードにした上で中間措置の方向に持っていくのが北の基本戦略。アメリカの方から言われるのは願ったり叶ったり。そこで経済制裁をある程度骨抜きにすれば自分たちのやりたい放題にできる。1994年の枠組み合意も2005年の六者協議も暫定でやって失敗している。それを繰り返さないため、日米韓が意思疎通し方向性を決めること。 櫻井よしこ 国家基本問題研究所理事長: 日本だけの力ではある意味どうしようもない。アメリカが全ての核保有国に対して睨みをきかせることができなくなった時代に私達は生きており、そこでどうやって日本を守るかという発想が必要。我々もそこを補完すること。だから岸田さんはアメリカでグローバルパートナーシップと言った。暫定措置についても日米韓で協議をすることは大事だが、一番重要な軸の国であるアメリカが今の姿勢ではダメ。 長野美郷キャスター: 拉致問題の解決にアメリカの協力や支援は重要かどうか。 櫻井よしこ 国家基本問題研究所理事長: 国際社会は一国で全ての問題を解ける時代ではなくなった。そして今の自衛隊は、残念ながら正式な軍隊ではない。日本国の国家としての脆弱性を考えるとき、アメリカの協力なしでどうやれるのか。もちろんアメリカもどの国も自国の国益が最優先。アメリカに頼るのではなく、助言や助力が欠かせないと私は思う。 蓮池薫 新潟産業大学特任教授: 日本がやることをアメリカに支持してもらうこと。例えば拉致問題解決のために努力する上で人道支援を行うときに賛成してくれるという支援。アメリカがやってくれることに期待し寄りかかるようなことはダメ。 礒﨑敦仁 慶應義塾大学教授: 日本の立場への理解をアメリカに示してもらうのは最低限必要なことで、それは今まで20年間かけて十分やってきた。これからは日本がきちんと動くこと。日本人を取り戻すのは日本政府しかない。だが2024年に入ってから北朝鮮が発信している談話を見ると、水面下交渉には至っているようには到底見えない。本当に拉致問題最優先でやってきたのかという疑問は感じざるを得ない。 長野美郷キャスター: 岸田政権は拉致問題解決に向けて何をすべきか。 蓮池薫 新潟産業大学特任教授: 北の言う死亡説を崩す最も強力な手段は、現在の拉致被害者の生存情報。これを得ることはいろんな手立てにつながる。韓国との協力を含め情報収集を強化してほしい。 反町理キャスター: どうなれば「拉致問題は解決した」となるか。 蓮池薫 新潟産業大学特任教授: 日本で拉致被害者としてまだ認定されてない方々がいる。その対処が必要。認定拉致被害者と特定失踪者については、全てを救うという原則は同じだが、アプローチには差が出てもしょうがないかなと。確証がある方々はどんどん認定し、まだ認定できていない方々については、関係が一定改善したときに協力を得て行方不明者として救出してもらうなど。万が一の万が一として亡くなっているなら、ご家族が納得できる真相解明を北朝鮮がすること。 礒﨑敦仁 慶應義塾大学教授: 「決着」には何らかの政治的な定義が必要。いざ首脳会談で拉致問題だけ解決しようとしても、核・ミサイル問題でも要求しようという世論になる。総理自身が調整し国民を説得する努力が要る。 「BSフジLIVEプライムニュース」4月18日放送
BSフジLIVE プライムニュース