マツダのHEV「MX-30ロータリーEV」に搭載されたロータリーエンジンの現代的な使い方
マツダといえば、いまだにロータリーエンジン、とすぐ連想する人が少なくないようです。RX-7やRX-8といったスポーツモデルに搭載され、強力なトルクと、低い重心高によるハンドリングの良さで好評を博してきました。1990年のバブル経済全盛期には、超パワフルな3ローター式エンジン搭載のユーノスコスモ(1990年)まで登場。ファンを魅了したものです。 【内装デザインなど細部の画像を見る】
■ロータリーエンジンの復活
2012年にRX-8の生産終了とともに、マツダのラインナップから消えてしまったロータリーエンジンですが、2023年1月に欧州で発表された「MX-30ロータリーEV」でみごと復活。 といっても使い方は“現代的”です。コンパクトで高出力というロータリーエンジンの長所を活かし、なんと、EVの駆動用バッテリーの充電のために使っているのです。それが、ハイブリッドのMX-30ロータリーEVなのです。 MX-30ロータリーEVでは、モーターやジェネレーターと同軸に、「8C」とよばれるシングルローターのエンジンを配置。前輪を駆動します。エンジンルームを開けると、コンパクトさに驚くほどです。 自動車業界の大きな流れがバッテリー駆動のEV(BEV)に向かうなかで、あえてわざわざコストをかけてロータリーエンジンを設計したのは、どうしたわけでしょう。 マツダの開発責任者に尋ねると、今はまだBEVといっても充電などのインフラが整備できない地域もあることを勘案して、段階的に電動化を進めることにしているそうです。その計画の中でハイブリッドシステムとロータリーエンジンの相性の良さに注目したのが今回のモデル、と答えてくれました。 MX-30にも、BEVモデルが存在します。一充電走行距離は256km(WLTC)。市街地でなら、1週間ぐらいは充電なしでも使えます。しかし、東京から箱根とか、遠出を考えると往復も難しくなるのは事実。 そこでエンジンが電力を供給してくれるMX-30ロータリーEVは、長距離も使いたいという人に、ぴったりのコンセプトといえます。さらに遠くに行きたいときは、エンジンが頼りになります。