もうすぐ60歳。今は会社の「借り上げ社宅」に住んでいますが退職後は「地方都市」でのんびり暮らしたいです。「無職」になった後も「賃貸物件」は借りられますか?
定年退職後は地方に引っ越しして、賃貸物件を借りてのんびり暮らしたいと考えている高齢者もいるでしょう。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算 しかし、高齢になるほど賃貸物件を借りにくくなる傾向にあります。本記事では、高齢者の中でも賃貸物件が借りにくいケースや、高齢者でもスムーズに賃貸物件を借りる方法などを紹介します。
高齢者に入居制限をかけている賃貸物件は多い
平成28年に国土交通省が発表した「家賃債務保証の現状」によると、単身の高齢者(60歳以上)を入居不可にしている大家さんは、全体の11.9%でした。 また、夫婦であっても高齢者のみ世帯の入居を不可にしている大家さんは、全体の8.9%です。さらに、生計中心者が離職者の世帯の入居を不可にしている大家さんは、全体の8.7%でした。 この結果から見ると、年金や貯蓄で生活している高齢者、中でも単身の高齢者は賃貸物件を借りるのが難しい傾向にあるといえます。 ■入居制限の理由は家賃の不払いがトップ 大家さんが入居制限をする理由は、「家賃がきちんと支払われるか不安を感じるから」が57.3%、「居室内での死亡事故等に対する不安」が18.8%でした。 つまり、無職の高齢者に家を貸すと「家賃の支払いが滞るのではないか」「室内で孤独死してしまう恐れがあるのではないか」といった不安を覚える大家さんが多いということです。高齢者の生活状況はさまざまです。 老後の資金をしっかりと蓄えていて急な出費に対応できる高齢者もいれば、年金の支払日前は口座がほぼ空っぽになってしまう方もいるでしょう。 しかし、高齢者の経済状況は第三者にはわかりません。時間をかけて審査するなら、一律入居不可にしてしまったほうがよいと考える大家さんも多いのが現状のようです。
高齢者でもスムーズに賃貸物件を借りる方法
急速に高齢化が進む現在、賃貸物件に入居したい高齢者も増えています。ニーズに合わせるように、高齢者でもスムーズに賃貸物件が借りられるよう、サービスや制度が整いつつあります。 本項では、退職後に賃貸物件を契約して入居したいと考えている方に向けて、高齢者でもスムーズに家を借りるために利用できるサービスを紹介します。 ■家賃債務保証を利用する 家賃債務保証とは、賃貸住宅の入居希望者が保証会社と契約して、家賃等の滞納時に一定の範囲内で立て替えてもらう制度です。一般的に賃貸物件を契約する場合、家賃の滞納時や急に借り主が死亡したときに備えて、連帯保証人を立ててもらいます。 しかし、借り主が高齢者の場合、連帯保証人になってくれる人がいなかったり、連帯保証人になってくれる人も無職の高齢者しかいなかったりするケースが珍しくありません。家賃債務保証制度を利用すれば、大家さん側もいざというときに備えられるので、リスクを軽減できます。 利用できる保証会社は数多くありますが、「家賃債務保証事業者協議会」の会員保証会社を選ぶと安心です。また、不動産仲介業者が保証会社を紹介してくれる場合もあります。 ■高齢者歓迎の物件を探す UR賃貸をはじめとして、高齢者を歓迎している賃貸物件もあります。インターネットで「高齢者歓迎 賃貸物件」等のキーワードで検索すれば、物件がヒットするでしょう。 なかでも、UR賃貸住宅は「高齢者向け優良賃貸住宅」「健康寿命サポート住宅」「URシニア賃貸住宅(ボナージュ)」など、高齢者が暮らしやすい仕組みを備えた住宅が少なくありません。 UR賃貸は全国にあるので、住みたい地域に該当する物件があるか探してみてもよいでしょう。
高齢者が賃貸物件を借りるには家賃の支払い能力があると証明することが大切
退職した高齢者が賃貸物件を借りたい場合、「支払い能力の弱さ」や「いざというときの連絡先がない」といった理由で、敬遠される場合もあります。家賃は賃貸物件に住み続ける限り発生するので、賃貸物件に入居したい場合は大家さんに「自分は支払い能力がある」と示すことが大切です。 家賃債務保証を利用すれば、いざというときの後ろ盾になってくれるでしょう。また、UR賃貸住宅をはじめとして高齢者向けの賃貸物件に絞って家を探してみるのも1つの方法です。 出典 国土交通省 家賃債務保証の現状 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部