短期決戦議論深まるか 「見極め時間ない」 暮らし、経済…問題山積 県民
衆院選が異例の短期決戦となることが決まった9日、県民からは「候補者の訴えを見極めるには時間が足りない」との声が上がった。予算委員会での質疑など本格的な国会論戦がないまま選挙戦へ突入する。暮らしや経済、地方創生などの難題が山積する中、県民は「与野党の議論は深まるのか」と注視している。 「まれに見る短さ。ドタバタだ」。郡山市の無職千原武和さん(72)は驚きを隠せない。首相就任から8日後の解散、26日後の投開票はいずれも戦後最短で、解散から投開票までの18日間は2021(令和3)年の前回に次いで2番目に短い。 千原さんは短期間でも十分な議論が行われ、若い世代が国政を考えるきっかけになってほしいと願う。「物価高騰の影響を受け苦しむ人に寄り添った支援の実現に向け、活発な議論を期待したい」とした。 石破茂首相は9日、衆院解散後の記者会見で、地方創生を念頭に今回の解散を「日本創生解散」と名付けた。会津美里町でコメを作っている五十嵐薫さん(80)は過疎化や少子高齢化が進む古里に懸念を抱く。農業を取り巻く環境は、後継者不足や気候変動による減収などにより厳しさを増している。地方の声を国政に反映させる重要性をこれまで以上に強く感じる。「適任者を見極めるのには時間が足りないのではないか」と有権者の声を代弁した。
新区割りで実施される初の衆院選でもある。豆腐店を営む大椙(おおすぎ)広さん(40)が暮らす棚倉町は3区で、会津地方と白河市、西白河郡、東白川郡が一つになった。選挙戦を繰り広げるのは、主に会津地方に地盤を持つ候補者になる見通し。選挙期間が長ければ候補者の政策に理解を深められるとした上で「会津地方と県南地方は生活スタイルや文化が全く違う。候補者は足を運んで地域の声を拾ってほしい」と願った。 南相馬市の会社社長遠藤充洋さん(57)は「短期決戦に賛否はあるが、被災地の実情をしっかり把握し、これまで進んできた復興が滞ることがない政治を実践してほしい」と注文した。 ■必勝だるま注文続々白河 県内各地で衆院選に向けた準備が慌ただしく進んでいる。白河市の白河だるま総本舗渡辺だるま店では9日、職人が選挙戦の縁起物「必勝だるま」の制作に追われた。衆院解散の日程が取り沙汰されて以降、県内外の立候補予定者の陣営から注文が相次いだという。同本舗14代目の渡辺高章さん(32)は「一つ一つ手作業で丁寧に仕上げたい」と気を引き締めた。
福島市選挙管理委員会は開票所として急きょNCVふくしまアリーナ(市体育館)を確保した。開票所に使う頻度が高い福島トヨタクラウンアリーナ(市国体記念体育館)は27日の投開票日、先約があったためだ。10日までに市内全501カ所に候補者のポスター掲示場の設置を終える必要もあり、委託業者が急ピッチで作業を進めている。