二胡奏者、ウェイウェイ・ウー 宙に漂う音の向こう側に メンデルスゾーンの「コンチェルト」が東洋的に聴こえ…二胡が合う気がした
大陸の響きを伝える弦楽器、二胡。悠久の音を奏でる楽器に無限の可能性を与えているのが彼女だ。初めて来日したのは1991年。そのころはまだ二胡はメジャーではなかったようで…。 「まだ二胡という名前もあまり知られてなくて、まとめて胡弓と呼ばれていました。二胡を習いにカルチャーセンターに入ったのに、胡弓だったので〝これじゃない〟という話もよくあったそうです」 それにしても不思議な響きだ。時間がゆっくりと流れているようだ。 「時空を越える響きといわれています。日本で演奏しても、一番よく言われるのは〝懐かしい〟ということですね。この音色を聴くと心が落ち着かないですか。今の時代、この音色が必要になってきている実感はします」 この響きを直接感じることのできる機会がある。5月17日に東京・品川のキリスト品川教会のグローリア・チャペルでコンサート「バラードナイトⅡ」を開催する。日本の教会で中国の二胡を聴くという神秘的なコンサートだ。 「チャペルというのは不思議な響きが広がるんです。逆にお客さまの息遣いもステージに伝わってきます。神聖な空気なので、やっぱり演奏するのはバラードです。いつも私の演奏はスタイリッシュって言われるんですが、今回はたっぷりとバラード。もう目を閉じて寝てもいいぐらいの気持ちで、癒やされにきてください」 幼いころからバイオリンの英才教育を受けていた。しかし15歳で転機が訪れる。メンデルスゾーンのコンチェルトを弾いたときのことだ。 「これがすごく東洋的に聴こえて、よく知っている二胡の響きが合うような気がしたので、弾いてみたいと思ったのが二胡を始めるきっかけでしたね。弾いてみるとバイオリンみたいにちょっと弾けたんです。するとバイオリンと違って宙に浮いているような感じが面白くて。でも、音は自分の思っているとは違ったので、これはちゃんと勉強したいと思うようになりました」 ■〝百恵ちゃんカット〟にしていた