「まだ大丈夫」が危険!桂雀々さんがゴルフ中に倒れ64歳で逝去…医師が警告する”糖尿病放置”リスク
糖尿病による心筋梗塞や脳梗塞
落語家の桂雀々さんが64歳という若さで突然亡くなったニュースは、多くの人に衝撃を与えた。ゴルフのラウンド中に倒れ、救急搬送されたものの、そのまま帰らぬ人となった。関係者によれば急逝の背景には糖尿病があったというが、直前まで普通に生活していただけに、周囲の驚きは計り知れない。 【5人に1人が…!】動脈硬化、心筋梗塞に腎不全、肝硬変……リスクを警告する五藤医師 だが、五良会クリニック白金高輪の五藤良将医師は「雀々さんのように糖尿病による“突然死”は珍しいことではありません」と警鐘を鳴らす。 「日本では糖尿病患者やその予備群が約1000万人もいるとされています。50代以降では4人に1人が該当します。決して無視できる数字ではありません。 血糖値のコントロールがうまくいかない状態が続くと、全身の血管がダメージを受けます。動脈硬化が進み、冠動脈疾患や脳血管障害のリスクが2倍から4倍にも増えます。心筋梗塞や脳梗塞は命に関わり、後遺症も深刻なので、早めの対応が必要です」 年齢を重ねるとインスリンの分泌機能が落ちたり、インスリンに対する反応が悪くなったりするため、中高年の糖尿病リスクは若い人の3倍にもなる。恐ろしいのは糖尿病は「サイレントキラー」と呼ばれるように、自覚症状がほとんどないまま進行するケースが多いことだ。 「血糖値が少し高い程度だと、体に異常を感じることはほとんどありません。そのせいで診断が遅れ、気づいた時には血管がかなり傷んでいることが少なくない」(五藤医師) ◆末期腎不全、肝硬変に肝癌… 中高年に多い「年のせいかな」と片付けられがちな症状に注意が必要だ。 「夜間に何度もトイレに行く、なんとなく疲れやすい、午前中に集中力が続かない……こういった軽い症状が、実は糖尿病性神経障害や高血糖の影響であることが多いのですが、多くの患者がそれに気づきません」(五藤医師) これらを放置すると、糖尿病性腎症や網膜症といった深刻な合併症に発展することもある。「糖尿病性腎症は透析が必要になる末期腎不全の主な原因です。視力低下や失明のリスクも診断が遅れるほど高まります」と五藤医師は警告する。 糖尿病は、代謝関連脂肪性肝疾患(MAFLD)とも深く関わっている。進行すると肝硬変や肝癌のリスクが高まるため、早期発見と治療が重要だ。 雀々さんの命を奪ったのも、糖尿病からの肝不全だった。 「特に45歳を過ぎたら、毎年の健康診断を受けることが大切です。空腹時血糖やHbA1c、肝機能や腎機能のチェックは欠かせません。これらの検査は糖尿病だけでなく、関連する臓器の障害を防ぐための第一歩です」(同前) 生活習慣を改善する際には無理をしないことも重要だ。 「急に生活を変えようとしても続きません。まずは1日15分のウォーキングから始めてみてください。また、食事では糖質を摂り過ぎないこと、野菜中心のバランスの取れたメニューを意識することが大事です。加工食品や飲料に含まれる隠れた糖分にも注意する必要があります」(同前) 最後に五藤医師は強く訴える。 「『まだ大丈夫』と思っているうちに手遅れになってしまう。桂雀々さんも、もっと早い段階で対応していれば命を救えた可能性があります。健康診断で異常が出たら、迷わず医師の診察を受けてください」 50代や60代は仕事でも家庭でも大事な役割を担う時期だ。健康に気を配り、自分の体としっかり向き合うことが、これからの人生をより充実させるカギになる。
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