「最高のジャンプ漫画実写化は?」大成功のベスト映画(3)再現度が高すぎる…笑って泣ける原作ファン絶賛の逸品
1969年の創刊以来、長年にわたって子どもたちに夢を与え続けてきた『週刊少年ジャンプ』。60年以上の歴史の中には、アニメ化や実写化がされた人気作品も多々ある。そこで今回は、同雑誌に連載された漫画を実写化した作品を5本紹介。驚異の再現度の秘密を徹底解説する。第3回。(文:編集部)
●『銀魂』(2017)
監督:福田雄一 原作:空知英秋 脚本:福田雄一 キャスト:小栗旬、菅田将暉、橋本環奈、柳楽優弥、新井浩文、吉沢亮、早見あかり、ムロツヨシ、長澤まさみ、岡田将生、山田孝之(声の出演)、佐藤二朗、菜々緒 【作品内容】 宇宙出身の天人(あまんと)たちの支配を受け、武士たちが衰退した江戸時代末期。かつて“白夜叉”と恐れられた侍、坂田銀時(小栗旬)は、廃れた剣術道場の息子、志村新八(菅田将暉)や、夜兎(やと)族の少女、神楽(橋本環奈)と万事屋を営んでいた。 そんなある日、彼のもとに、かつての同志、桂小五郎(岡田将生)が凶刃に倒れ、行方不明になったという知らせが入る。事件の調査を進める銀時は、再び剣を手に、旧友を救うべく立ち上がるが―。 【注目ポイント】 『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(1976~2016)や『斉木楠雄のΨ難』(2011~2012)など、数々のギャグ漫画の傑作を世に送り出してきた『週刊少年ジャンプ』。中でもとりわけ人気なのが、2004年から2018年まで連載されていた『銀魂』だ。 本作は、幕末の江戸を舞台に、侍の魂を心に宿す攘夷志士・坂田銀時の活躍を描いた「SF人情なんちゃって時代劇コメディー」。2018年の連載終了まで、アニメ映画化、実写映画化、Web配信ドラマ化、ゲーム化、小説化など、様々なメディアミックス展開がされた。 中でも特筆すべきは、興行収入27億円のヒットを記録した実写版『銀魂』だろう。 主人公の坂田銀時役を演じるのは小栗旬が、『勇者ヨシヒコ』シリーズ(2011~2016、テレビ東京系)や『HK 変態仮面』(2013)などで知られる「コメディ界の奇才」福田雄一がメガホンを取った本作。その最大の魅力はビジュアルの再現度の高さにある。 一般的に、漫画作品の実写化は、キャラクターの魅力をうまく再現できず、中途半端なコスプレに終わってしまうことが多々ある。一方、本作では、福田自身「違和感も含めてマンガにある形をそのまま忠実に再現すること」が重要であると語っているように、マンガのビジュアルが忠実に表現されている。そのため、坂田銀時役の小栗旬をはじめ、全てのキャラクターに漫画から抜け出てきたようなリアリティが感じられるのだ。 また、コメディとシリアスの振り幅も本作の大きな魅力だろう。前半、福田雄一らしいパロディネタのオンパレードに腹を抱えたかと思うと、後半、妖刀「紅桜」をめぐる志士たちの悲喜こもごもを描いた「桜桃篇」では、思わずほろりとさせられる。ふざけるところは思いっきりふざけ、締めるところはしっかり締める-。この緩急こそ、本作が観客の心をとらえる秘訣なのだ。 なお、原作者の空知と『週刊少年ジャンプ』の編集部の面々は、『銀魂』の実写化をことごとく断ってきたという。しかし、福田雄一が監督をつとめると聞くや、映画化を即決。「お待ちしておりました」と三顧の礼で福田を迎えたのだとか。 空知英秋と福田雄一。異分野の才能の邂逅が、実写版『銀魂』を生んだのだ。 (文:編集部)
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