日本一のものづくり愛知 英国「EU離脱」余波 警戒続く中小製造業者のいま
一時1ドル=100円割れ 悪夢よみがえる
中小企業の間では、今回の円高で一時1ドル=100円を切ったとき、リーマンショックの悪夢を呼び起こされたかのように感じた。「リーマンの時はいろんな会社が体力を消耗したが、なんとか持ちこたえてきた。(100円割れを見たら)リーマンと同じ状況になって、対応を考えざるを得ない状況になった」という。 実際、今回のイギリス国民投票の影響による、取引先からの値下げ要求はない(11日現在)。しかし、企業団地の中からは「値下げの求めが来るかも」と警戒する声は消えない。芦原専務は「中小の製造業は取引先からの特急注文や休日の変則シフトなど、柔軟に対応して生き残ってきた。それを可能にするには従業員を確保しておかなくてはならず、人件費がかかる。もし、円高が続いて、値下げ交渉があったら会社経営を圧迫することになる」と懸念を示した。
景況感マイナスも自動車生産伸び 円相場の推移見守る
日銀名古屋支店が発表した東海3県(愛知・岐阜・三重)の6月の企業短期経済観測調査(短観)によると、製造業の景況感を示す業況判断指数は、前回から3ポイント悪化し、マイナス3となった。円高が進んで収益悪化を懸念したことなどから景況感を押し下げたとみられる。 一方、自動車主要8社が発表した5月の国内生産台数は、前年同月比2・4%増、輸出も同6・8%増だったという明るい材料もある。名古屋市中川区の工作機械部品メーカー・サンユーの関係者は「忙しくしている。今のところ円高の影響はないが、状況は把握していく」と話した。 為替市場もやや落ち着き、このところは円安基調も見えてきた。だが、愛知県の製造業は、再び来るかもしれない円高への危機感を常に抱きつつ、円相場の推移を見守っている。 (斉藤理/MOTIVA)