女性目線で職場の改善策などを検討する「せいぞう小町」＝18日、磐田市のヤマハ発動機本社

　ヤマハ発動機は、女性目線を生かした製造現場の職場改善を進めている。女性活躍のプロジェクトチームから出た提案を採り入れて、工場のトイレや更衣室の改修などに取り組み、男社会のイメージから脱却を図る。製造業が人手不足にあえぐ中、誰もが働きやすい労働環境を整え、今ある人材資源を最大限に生かすだけでなく、採用面でのアピールポイントにする狙いもある。 　同社によると、製造現場の女性比率は約1割。「女性の声が届きにくい」「人数が少ないから意見するのは申し訳ない」－。そんな現場の雰囲気を変えようと2022年4月、工場勤務の女性を中心にした「せいぞう小町」が発足した。現在は20～40代の16人が月2回集まり、改善策の検討などに取り組む。1年目から参加する、石井里沙さん（23）は「新しい挑戦が自分自身の成長にもつながる」とメンバー入りを志願した。 　改善策は経営層に直接提案し、身近なところから着実に成果を出している。汚くて和式も多かった各工場のトイレは23年に改修に乗り出し、26年末までに56カ所を完了する計画だ。磐田市の本社工場では、鋳造棟におしゃれな雰囲気で女性専用の休憩室兼更衣室を新設。「ちゃんと気が休まるように」と壁紙や照明、ソファなどをせいぞう小町メンバーが選んだ。 　今秋、約40年ぶりに一新する作業衣にも女性の意見を反映した。防寒、吸湿、イージーケアなどの機能を付けたほか、着るとスリムに見えるデザインにし、サニタリー用品用のポケットもあるという。結婚、出産といったライフイベントへの対応やスキル向上の制度などをまとめたハンドブックも作製した。各職場で共有することで、上司にも理解を深めてもらい、意識改革につなげている。 　リーダーの一人、伏見千紗さん（35）は「少数派の困りごとを伝えやすい環境にすることで、女性だけでなく誰でも輝ける場にしたい」と意欲を示している。