ポルシェ伝説のマシンが約800万円のなぜ?…川崎重工製400ccエンジンを搭載したジュニアカーは、本物と見まごうばかりの出来栄えです
子ども向けじゃない? ポルシェ917/30のジュニアカー
自動車エンスー界において毎年8月の恒例行事となっている「モントレー・カーウィーク」では、中核イベントである「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」や「ラグナセカ・モータースポーツ・リユニオン」にくわえて、欧米を代表する複数のオークションハウスが、カルフォルニア州モントレー半島の各地でクラシックカー/コレクターズカーの大規模オークションを開催しています。そんななか、RMサザビーズ北米本社が8月15日~17日にモントレー市内で開いた「Monterey 2024」オークションでは、1/1サイズ、つまりはホンモノのクルマたちにくわえて、元来は子どもたちのために製作された「ジュニアカー」たちも出品されていました。 【画像】2/3スケールで忠実に再現! ポルシェ「917/30ジュニア」を見る(全22枚)
写真をひと目見ただけでは、本物と判別できないほどリアルな出来ばえ
欧米から中東に至るまで、近年の国際オークションでしばしば出品される「チルドレンズ・カー」ないしは「ジュニアカー」は、小さな子ども向けの「キッズカー」よりは、少しだけ対象年齢が高めのものを指している。 これらのモデルのなかでもハイエンドのものは、モデルとなる「ホンモノ」のクルマの再現度や作り込みの精巧さなど、子ども用のおもちゃの領域をはるかに凌駕し、コレクターズアイテム、ないしはアート作品のレベルに達したものがあるようだ。 そして、これらのジュニアカーだけを蒐集するコレクターが欧米には数多く存在するばかりか、専門のミュージアムもいくつか設立されていることは、これまでAMWでもしばしばお話ししてきたとおりである。 このほど「Monterey 2024」オークションに出品された「917/30ジュニアカート」も、そんな大人のコレクター向けの本格的ジュニアカーのひとつといえよう。 そのモデルとなったポルシェ「917/30」は、2基のターボチャージャーから5.4Lの水平対向12気筒エンジンにパワーチャージ。半世紀前にして、1000ps以上のパワーを発揮した強力無比なパワートレインを最大の武器として、1973年の北米「Can-Am(カナディアン・アメリカン・チャレンジカップ)」選手権を席巻した伝説のマシン。 アメリカ市場でのPRを目指すポルシェ本社の支援を受けた「SUNOCO」チームに所属し、ドライビングを担当したマーク・ドノヒューは、このシーズン全8戦でポールポジションを獲得。アメリカンV8を搭載したライバルたちに対して、つねに平均1.6秒のアドバンテージを築いたという。 さらに決勝でもシーズン6勝を挙げた彼は、Can-Am選手権タイトルを獲得したものの、そのあまりの強さから選手権そのものを震撼させ、結果としてアメリカンV8に回帰を促すべく、ルールブックの書き換えを促すことになったといわれる。 ポルシェ917/30は、まさしく伝説の主人公ともいうべき「レン・シュポルト」だったのだ。
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