心をガッツリ掴まれた『王様戦隊キングオージャー』 制作陣やキャストへ最大限の敬意を【篠宮暁の特撮ヤベーイ!】第56回
ピン芸人・オジンオズボーン篠宮による大好きな特撮に特化したコラム『オジンオズボーン篠宮暁の特撮ヤベーイ!』。第56回は、ついに最終話を迎えた『王様戦隊キングオージャー』について語る。 【写真】バトンタッチした『キングオージャー』“ギラ”酒井大成と『ブンブンジャー』“大也”井内悠陽 この記事が配信されてる頃にはもう『キングオージャー』の最終回も終わってきっと放心状態になっていることかと思います。第一話目から世界レベルのとんでもないハイクオリティ、劇中の言葉を借りて言うならば超絶怒涛究極完全な映像と物語を一年間見せ続けてくれた『キングオージャー』。正直な話をすると三作前の『キラメイジャー』がとんでもない傑作で『キラメイジャー』が放送終了した当時、これを超える戦隊はしばらく出てこないだろうと思ってました。ところが次作の『ゼンカイジャー』がそれを超えてきました。今の仮面ライダーの礎を築いた白倉伸一郎さんが仮面ライダーを超えるべく、スーパー戦隊とはこうあるべきという固定観念をことごとく壊して新たな戦隊像を提示。『ゼンカイジャー』で展開された表現は相当革命的でした。が、なんとそこからまだ手を緩めませんでした。スクラップビルドを達成した戦隊をまた違う角度から違う手法を用いてアプローチしていったのです。その作品が『ドンブラザーズ』。戦隊らしからぬ戦隊をも作り上げ、仮面ライダーに押され気味だった戦隊の熱量を最大出力まで引き出し過去最高傑作が生まれました。 その後に始まった『キングオージャー』。大森プロデューサー、パイロット監督には上堀内監督、脚本に高野水登さんという特撮ファンにはすでに絶大な信頼のあった最強布陣が担当すると発表された時はこれまでにない戦隊が見られると期待しました。 そんな中見た第一話の圧倒的スケールの映像と壮大な世界観。感想は「何だコレは!!」。それは過去一番の戦隊になるためではなく、まるで全世界のエンタメへの挑戦状を叩きつけてるかのようでした。LEDウォールを用いた今までに見たことのない映像はどのように撮ってるのか全くわからず、ただただキングオージャーの世界に没入。後にプロダクションノートにて明かされる制作過程を見ると新しい技術を取り入れる為に血のにじむような、いやもう出血してるのではという苦労を垣間見ることができます。 想像もつかないほどの時間をかけたトライアンドエラー。妥協せずに徹底的に検証されたバーチャルプロダクションの可能性。この一年間で何度も目にした清澄白川BASEの文字。これらを濃縮して作品に仕上げる、しかも一年間毎週毎週。こんな人間離れした仕事を可能にしたのはきっと『キングオージャー』に関わったスタッフさんが誰一人として手を抜くことなく、最大のパフォーマンスを発揮されたからに違いありません。 ここ最近のXでの上堀内監督のスタッフさんの紹介を見れば一目瞭然。超一流のプロフェッショナルだらけ。そしてそのお顔を見るとどのスタッフさんもいい顔をしてらっしゃる。こんなすごい作品を作るのは絶対にしんどかったと思うんですが同時にものすごく楽しまれてた風にもお見受けします。 映像も世界レベルですが物語も世界レベル。これ最終回?と何度思ったかわからないほど熱くさせていただきました。とにかくせりふが刺さる刺さる。感動で毎週胸が痛い。涙が堪えきれないこともしばしば。 高野水登先生、せりふを生み出すのに命削ってませんか?誰か高野さんに永遠の命を!!伏線の張り方も尋常じゃないレベル。映画もスピンオフも1秒たりとも無駄がない。キャストの皆さんも神懸かってる。主人公の6人もとんでもないし、周りのキャラクターも全員かっこいい。そして悪人だと思ってたキャラが何人もひっくり返る。その一番の象徴はラクレス。演じられた矢野聖人さんにはひれ伏すばかり。後日談を読めば読むほど41話が際立って仕方ない。全て知った上で演じられてたという矢野さん。最終回前にそれを踏まえた上で見返してみるとなんと全然違った印象を受けるのです。ミリ単位の感情の動きを確かに表情で表現されてらっしゃる。知らずに見てた時には全く気づきませんでした。ここまででもえげつない盛り上がりを見せてきたキングオージャーでしたが最終三話がそれをさらに凌駕。ハリウッドにまったく引けをとらない、個人的には余裕で勝ってるとすら思っている最高品質に心臓をわし掴みにされた視聴者から映画館で上映してほしいという声が。その声を受けたデカグリーンの伊藤陽佑さんが発信した「#キングオージャー最終三話劇場版」が放送直後でないにもかかわらずトレンド一位に。あー、たまらん。 『キングオージャー』という名の国を創るのに携われたキャスト、スタッフの皆様方、毎週心を震わせていただきありがとうございました。