政府がライドシェアを進める裏で…ASEAN国際会議に浮上した海外要人を「白タクで送迎」疑惑の真相
「地域交通の担い手不足や、移動の足不足といった深刻な社会問題に対応しつつライドシェアの課題に取り組んでまいります」 【独自入手】具体的な送迎区域などが…ASEAN国際会議で使われたと思われる「白タク募集」衝撃の実物画像 現在行われている臨時国会。岸田文雄首相(66)は所信表明演説で、「ライドシェア」導入に向けて力強くこう発言した。「ライドシェア」とは「一般のドライバーが自家用車で有償送迎」をする行為。海外では普及し始めているが、国内では道路運送法で自家用車による有償送迎は原則禁止されている。無許可営業のタクシーである「白タク」と同じ扱いなのだ。導入を巡っては、自民党内でもタクシー・ハイヤー議員連盟が「安全性の観点等から問題」と断固反対を表明するなど大きな議論を呼んでいる。 そんな中、弊誌取材でこの「白タク」に準ずる行為が、なんと政府主催の国際会議で行われていたことが発覚した。あろうことかネット求人サイトで「自家用車による海外来場者の送迎スタッフ」と銘打ち、堂々と募集が行われていたのである。 その国際会議とは、10月5日~6日に東京・明治記念館で開催された「日ASEANサイバーセキュリティ官民共同フォーラム」だ。主催したのは内閣サイバーセキュリティセンター。東南アジア諸国連合(ASEAN)との友好協力50周年を記念し、日本を含む9ヵ国のサイバー対策に取り組む官民の団体が参加。日本からは河野太郎デジタル相(60)も出席し、日本とASEAN諸国のサイバー対策の連携強化の覚書を締結した。 このフォーラム開催中、海外来場者らの宿泊先ホテルから会場、またホテルから羽田空港などへの移動について、送迎者を求める募集が、ネットの求人サイトで流れていたのである。
「なかには白タク行為になる可能性が高いと知らずに応募した人もいたはずです。このままスルーしていい問題だとは思えません」 こう語るのは、疑惑の求人に応募したAさんだ。道路運送法78条によると「2種免許を持たない一般のドライバーが有償で送迎すること」は原則として禁止されている。Aさんは募集内容を見て、「白タク」に当たる可能性が高いことに気付き、途中でキャンセルしたという。話を聞くと、おもむろに1枚の写真(上記)を見せてくれた。そこには、 「¥6,200 自家用車で送迎できる方!海外来場者の送迎スタッフ!水天宮のホテルから青山一丁目駅付近までの送迎業務! 2023年10月5日(木)7:30~11:30 交通費¥1,000円込」(*翌日10月6日も同じ条件で求人募集。時間帯は9:00~12:00 ¥4,900交通費¥1,000円込) と書かれている。募集内容をスクショした他の写真にも、 「¥6,200 自家用車で送迎できる方!海外来場者の送迎スタッフ!水天宮のホテルから羽田空港までの送迎業務! 2023年10月7日(土)11:00~15:00 交通費¥1,000円込」 といった文言が並ぶ。Aさんが語る。 「私がこの求人を発見したのは9月下旬です。いつも利用している、ネット求人大手・T社のサイトで見つけました。募集していたのは、埼玉県のG社というイベント請負業の会社。G社の募集には、 『¥6,000 国際会議での記録写真の撮影カメラマン! 2023年10月5日{木}9:30~12:00交通費¥1000円込』 という類似の募集もあり、詳細には『業務内容 ASEAN会議での記録写真撮影カメラマン』と書かれていました。それで、送迎募集に書かれた『海外来場者』がASEANの国際会議参加者ではないかと思ったんです。すぐに運営会社のT社にメール連絡しました」 Aさんは業務内容の詳細を確認したあとキャンセルしたという。自己都合のキャンセルは一定期間応募ができなくなるペナルティがあるというが、T社の対応にも疑惑が残った。 「9月30日にメール連絡しましたが、『社内にて確認中です』との返信が繰り返されただけ。10月4日夜8時過ぎになってようやくこのような返信が来ました。 『G社のお仕事につきまして詳細のお伝えはできかねる』 『弊社は総合的に判断し、ペナルティの付与がされないようキャンセルした』 『(白タクに該当するかは)詳細のお伝えができかねますことを何卒ご理解うけたまわりますようお願い申し上げます』 曖昧模糊とした内容ですが、自己都合のキャンセルのペナルティを免除したこと自体、Т社が『白タク行為』と認定した証拠ではないかと思っています」(同前)