老若男女未来学園

次々と新たな作り手が頭角を表す演劇界。数ある劇団の中から、ジャケ買いならぬ“劇団名買い”で観劇に行った経験はないだろうか。チラシやニュース、SNSなどで目にする劇団名は、シンプルなものから不思議な音の響きを持つもの、「どういう意味？」と目を引くものまでさまざまだが、それには名づけ主の希望や願い、さらには演劇的活動戦略が込められているはず。このコラムでは多彩な個性を放つ若手劇団たちの、劇団名の由来に迫る。劇団名が持つ秘密と共に、未来の演劇界を担う彼らの活動の軸を紐解いていく。 【画像】老若男女未来学園の過去の公演より。（他1件） 45番目に登場するのは、名古屋・東京の2拠点で活動する老若男女未来学園。作家や俳優だけでなく、メディアアーティストやプロダクトデザイナーなど、さまざまな肩書きを持つメンバーが集う同団体は、「かながわ短編演劇アワード2023演劇コンペティション」や「かながわパフォーミングアーツアワード2024」に出場するなど活動の場を広げている。4月19日からは、愛知県名古屋市で活動する二十代を中心とした3団体の合同公演、吉報 vol.2「かつぐ」に出演する彼らに、思わず声に出して読んでみたくなる団体名の由来を聞いた。 ■ 老若男女未来学園 □ Q. 団体名の由来、団体名に込めた思いを教えてください。 老若男女未来学園は、活動理念として「『老若男女』ありとあらゆる人びとの『未来』を明るく照らすことのできるような作品の創作を通して、多様なクリエイターが対等な立場で研鑽に励むことのできる『学園』のような場を追求していく」ことを掲げています。 キレイにまとまっているように見えますが、実はこの理念はあとからこじつけたもので、団体名自体は語呂の良さや字面のおもしろさから直感的に決めました。 こじつけであったとしても、月日が経つにつれだんだんと自覚が芽生えてくるものです。これからもこの理念をしっかりと胸に抱きながら活動を続けてまいります。 また、私たちはかねてより（活動理念を定めるよりも前から）「日常にユーモアをねじ込むスタイルを広く人々に提案し、実践してもらうことでめちゃくちゃおもしろい世の中の実現をめざす」ことも公言しているため、奇妙でありながらどことなく平和な印象のある団体名にはこの一面が反映されているのかもしれません。 □ Q. 団体の一番の特徴は？ メディアアートやプロダクトデザインなど、演劇以外の領域で表現活動を行ってきた構成員が複数名在籍しており、上演する作品にもそれら異分野の要素を多く取り入れようとしていることが大きな特徴だと思います。 そのため私たちは、自らを“劇団”とは位置づけておらず、今後は演劇以外の芸術分野にも活動領域を広げ、各分野が相互に良い影響を及ぼしあえるような活動形態を模索していきたいと考えています。 また、名古屋と東京の二箇所を拠点としていることも特徴のひとつです。特に2024年は、1月に東京、2月に名古屋、3月に横浜、4月に名古屋と、二つの拠点を行き来しながら短期間でコンスタントに上演を重ねてきました。 一番の特徴といいながら二点挙げてしまいました……。寸分違わず同率一位ということで、ひとつよろしくお願いします。 □ Q. 今後の目標や観客に向けたメッセージをお願いします。 今後とも団体の特性を生かし、異分野の知見や技術を積極的に取り入れ、特定の手法にこだわりすぎず新しい演劇の形を目指して活動を続けていきます。 また、演劇以外のあらゆる芸術分野にもできるだけ軽率に、節操なく手を伸ばしていきたいです（もちろんいい意味で）。 そして、名古屋・東京の二拠点での活動をさらに充実させていき、ゆくゆくは国内の他の地域、ひいては海外にまで活動範囲を広げられたらと思っています。 より多くの“老若男女”に向けて！ よろしくお願いします！ 老若男女未来学園 2017年、愛知県名古屋市にて旗揚げ。作家・俳優のほか、メディアアーティストやプロダクトデザイナーなどが在籍する。現在は名古屋と東京の二拠点で活動を展開。「かながわパフォーミングアーツアワード2024」にてオーディエンス賞を受賞した。