【岩田稔】阪神は12回、漆原大晟の度胸と技術に救われたが…9回1死満塁で決着をつけたかった
<阪神1-1中日>◇26日◇甲子園 阪神は中日相手に延長12回の“痛み分け”で、首位広島に3・5ゲーム差とされた。日刊スポーツ評論家の岩田稔氏(40)は12回1死満塁のピンチをしのいだ漆原大晟投手(27)の度胸と技術をたたえつつ、「9回裏で決着をつけておきたかった」と振り返った。【聞き手=佐井陽介】 ◇ ◇ ◇ 阪神は最後、漆原投手の度胸と技術に救われました。同点で迎えた延長12回表。先頭打者を三塁・佐藤輝選手の失策で出塁させ、どちらも会心の当たりではない2安打も絡んでの1死満塁。中日カリステ選手に対してフルカウントとなった場面で腕を目いっぱい振り、内角低めいっぱいに気持ちの乗った直球を投げ込むのだから、もう脱帽です。結果は6→4→3の遊ゴロ併殺。前進守備ではなく通常の守備位置で二塁経由のゲッツーを狙った岡田監督の意図に、最高の1球で応えた形です。 ただ、阪神としては是が非でも9回裏で決着をつけておきたかったゲームでもありました。9回裏は先頭死球に前川選手の右中間二塁打が絡み、1死満塁の絶好機を作っていました。ここで登場したのは代打渡辺選手です。最後は2ボール2ストライクから松山投手の外角低め155キロ直球を空振り三振。2死満塁から小幡選手も中飛に倒れ、サヨナラ勝利を逃しました。 渡辺選手が三振した場面。松山投手としてはボール球になるフォークを見逃されてフルカウントになるのも、浮いたフォークを痛打されるのも嫌だったはずです。それでも渡辺選手は頭にフォークがチラついてしまったのでしょうね。素晴らしい直球だったのは間違いなく、渡辺選手を責めるつもりはありません。とはいえ、首脳陣からすれば、なんとかファウルにするなど事を起こしてほしかったのも事実です。 結果は延長12回引き分け。中日は1回1死満塁、12回1死満塁から得点できませんでした。一方の阪神も2回2死一、二塁から小幡選手の右前打で二塁走者の大山選手が右翼・板山選手の度肝を抜くストライク返球で刺され、9回1死満塁、10回2死一、三塁の好機も生かせませんでした。ただ、阪神目線でいえば下位の中日相手にカード初戦から1敗1分け。なんとしても3戦目はモノにしなければなりません。(日刊スポーツ評論家)