欧州で中国のスパイ活動への懸念広がる、独欧州議員の側近逮捕 英国でも2人起訴
ドイツ連邦検察庁は23日、中国の情報機関のためにスパイ活動を行ったとして、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」所属の欧州議会議員のスタッフを逮捕したと発表した。 検察当局は23日の声明で、容疑者の名を「ジアン・G」と発表した。この人物は欧州議会の協議に関する情報を、中国情報機関に渡していたとしている。6月に行われる欧州議会選でAfDの最有力候補であるマクシミリアン・クラー氏のウェブサイトには、側近の1人としてジアン・グオ氏の名前が載っている。 クラー議員は、グオ職員の逮捕を報道で知ったという。同議員はSNSで、仮に容疑が事実なら、グオ職員の即時解雇につながると述べた。 検察当局によると、グオ職員はドイツ国内の反中国派に対するスパイ活動も行っていた。同職員は22日、ドレスデンで逮捕された。ドイツのフェーザー内相は「非常に深刻」な事案だと述べ、事実なら「欧州の民主主義に対する内部からの攻撃」だと指摘した。 中国外務省の報道官は、中国が欧州でスパイ活動を行っているとの報道は「中国の信用を失墜させ、弾圧することを意図したもの」だと主張した。 ここ数カ月、欧州で中国のスパイ活動に対する懸念が広がっている。 22日には軍事転用が可能な技術を中国に渡していたとしてドイツ人3人が逮捕された。また同日、英国でも中国のスパイ容疑で2人が起訴された。うち1人は、与党保守党の有力議員のもとで働いた経歴があると伝えられている。