【虎に翼】「この大馬鹿たれ!」滝藤賢一が演じる多岐川幸四郎にはモデルがいる…どんな人物だったのか
物議を醸すことを恐れない
しかし、「虎に翼」は男女不平等問題からも民族差別問題からも逃げない。少年法についてもそう。ドラマとしての信念を感じさせる。視聴者の熱気や支持がほかのドラマと違うはずである。これは視聴率では測れない。ちなみにドラマが考え方を押し付けるのではなく、議論に値するテーマを提示するのは海外ドラマでは当たり前のことだ。 ヒャンスクは1938年だった第28回、朝鮮へ帰国したが、48年の第53回から再登場した。ヒャンスク役のハ・ヨンスは韓国の釜山釜山広域市出身で、日本のドラマに出演するのは初めて。違和感をおぼえさせないが、それもそのはず。もともとスタジオジブリなどのアニメが好きだったことから、日本に早くから強い関心を持ち続け、日本語も学んでいた。 現在33歳だが、韓国でのデビューは21歳だった2013年。ラブコメディ映画「恋愛の温度」に助演の1人として出演した。18年にはドラマ「リッチマン」に主演する。それでも日本志向が高まるばかりで、20代半ばから日本語の独学を始めていた。 汐見を演じる平埜生成は2021年度下期の朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の「ひなた(川栄李奈)編」に登場。条映太秦映画村の職員・榊原誠を演じた。榊原はひなたの友人・野田一恵(三浦透子)と結婚した。絵に描いたような善人キャラだったが、今回はどうなるか。 今後、ヒャンスクに続き、華族だった桜川涼子(桜井ユキ)、その付き人として身分差を痛感させられていた玉(羽瀬川なぎ)、旧民法によって夫と妻の格差に苦しめられた大庭梅子(平岩紙)も登場するのは間違いない。 憲法第14条によって、それぞれの人生はどう変わったのか、興味は尽きない。 高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ) 放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。 デイリー新潮編集部
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