古舘寛治が桐島聡を演じる映画『逃走』2025年3月公開へ 杉田雷麟が若き桐島役に
古舘寛治が主演を務め、足立正生が監督・脚本を務めた映画の正式タイトルが『逃走』に決定し、2025年3月よりユーロスペースほかにて全国順次公開されることが決定した。 【写真】映画『逃走』で主演を務める古舘寛治と足立正生監督 本作は、半世紀に及ぶ逃亡の末に2024年1月29日に病院で亡くなった、東アジア反日武装戦線元メンバー・桐島聡を描く人間ドラマ。 「偽名で生きた内田洋から桐島聡への回帰、そこには多くの謎があり、逃亡生活の終焉と自らの死を予感した“革命への確信”その証は、映画でしか描けない」と始まった本作のプロジェクトは、足立監督が自ら脚本も担当し、夏にクランクイン。早いスピードでの劇場公開となる。 撮影監督を務めたのは、足立監督と日本大学芸術学部映画学科からの学友であり、是枝裕和監督作品や多くのテレビドキュメンタリー、記録映画などのカメラマンとして知られる山崎裕。足立監督と山崎がタッグを組むのは、『断食芸人』以来9年ぶりとなる。ロフトグループの創業者・平野悠がエグゼクティブプロデューサーを務め、大友良英が音楽を手がけた。なお、本作の挿入曲には、1969年にバリケード封鎖された早稲田大学構内で行われた山下洋輔トリオによるフリージャズライブ音源「Dancing 古事記」が使われている。 社会運動が高揚していた1970年代の日本、新左翼過激派集団・東アジア反日武装戦線“さそり”のメンバーであった桐島聡。若き桐島は重要指名手配犯とされ、いつ逮捕されるかわからない緊張感の中、逃亡を続けていた。生活を繋ぐため日雇い仕事を転々とし、数十年前からは「内田洋」という偽名を使い、神奈川県藤沢市内の工務店で住み込みの仕事に就くようになる。1960年から1970年代のブルースやロックを好み、月に一度、音楽好きが集まる藤沢市内のライブバーに足を運んでいた。趣味を楽しむ一面があったものの、かつての仲間たちの存在が常に脳裏に影を落としていた。メンバーの獄中闘争、超法規措置により国外に出る仲間たち、自ら命を絶った者。桐島はそうした仲間たちの姿を思い浮かべながら、日本社会の欺瞞や凋落を孤独に見つめ続けていた。2024年、70歳となった桐島は末期がんと診断され、病院のベッドで生死の狭間を彷徨う。薄れる意識の中で浮かんでくるのは、東アジア反日武装戦線としての活動、仲間と逃亡を続けていた当時の記憶。彼が生涯を賭けて追い求めたものは何だったのか。半世紀にわたる逃亡生活の果てに、彼は何を得ようとしたのか。死の間際に「私は桐島聡です」と名乗り出て何を表現しようとしたのか。 主人公・桐島聡役を務めたのは、足立監督が出演を熱望した古舘。若き桐島を、『半世界』で第41回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞、第34回高崎映画祭最優秀新進男優賞を受賞した杉田雷麟が演じた。また、桐島と恋仲になる女性役で中村映里子、桐島とともに逃走する宇賀神寿一役でタモト清嵐が出演。そのほか、吉岡睦雄、松浦祐也、川瀬陽太、足立智充らが共演に名を連ねた。 あわせて公開されたキービジュアルは、左側に晩年の桐島(古舘寛治)、右側に青年期の桐島(杉田雷麟)が逆さに配置され、赤と黒と白のコントラストを基調としたデザインとなっている。
リアルサウンド編集部