英ジャガー・ランドローバー EV計画に減速、当面はPHEV重視へ 発売延期も
PHEVの「予想外」の人気
英国の自動車メーカーであるJLR(ジャガー・ランドローバー)は、全ブランドでEV投入計画を減速させる姿勢を示した。開発期間の確保と、PHEV(プラグインハイブリッド車)の需要急増に対応するためだ。 【写真】ランドローバーのDNA受け継ぐ小型PHEV【レンジローバー・イヴォークP300eを写真で見る】 (17枚) 同社は2026年までにランドローバーブランドから6車種のEVを投じる計画であったが、これを見直し、JLR全体で6車種とする可能性がある。エイドリアン・マーデルCEOは2月2日の記者会見で、次のように語った。 「現実には、2026年までに6車種のJLR製品が誕生するでしょう。当社がこれまで開発した中で最高の車両を、新しい技術とともに市場投入するために時間をかけています」 JLRの新しいEVシリーズの第一弾となるのがレンジローバー・エレクトリックで、今年末の発売に向けてすでに1万6000件以上の関心(正式な予約ではない)を集めている。しかし、マーデルCEOによると、さらなる開発のために発売日が延期される可能性があるという。 JLRがEVの展開を遅らせるもう1つの要因は、PHEVの需要増加だ。マーデルCEOは、「この3年間で業界が進化したことは明らかです。PHEVの受け入れに関しては、多くの驚きがありました。JLRは、より多くのPHEVを市場に提供するために懸命に取り組んでいます」と語った。 現在販売するPHEVモデルは、レンジローバー、レンジローバー・スポーツ、レンジローバー・ヴェラール、レンジローバー・イヴォーク、ディスカバリー・スポーツ、ディフェンダー、ジャガーFペイス、Eペイスの8車種。しかし、今後の展開については詳しく言及されていない。 ランドローバー・ディスカバリー、ジャガーXE、XFは現行型の生産終了が近いと考えられるため、PHEV導入は見送られる可能性が高い。 これまでPHEVの生産を制限していたサプライチェーン危機が緩和された今、JLRは旺盛な需要に応えるため生産台数を増やしていくだろう。同社は2020年代末までに販売台数の60%をEVとし、2036年には100%まで拡大する計画だが、EVへの移行の中でPHEVが重要な役割を担うことは間違いない。
フェリックス・ペイジ(執筆) 林汰久也(翻訳)