プーチンに「行列は好きじゃない」と言うゼレンスキー 風刺で分かるウクライナ侵攻2年
なぜプーチンはウクライナに侵攻し、なぜ戦争は2年も続いているのか。世界で流行る「ロシア人ジョーク」から、プーチンとロシアの真相に迫る
2022年2月24日、ロシア軍がキーウに向け侵攻を開始した。その後は一進一退があり、多くの犠牲者を出し、ウクライナ軍が反転攻勢をするも膠着。ロシア・ウクライナ戦争はいまだ先の見えない状況にある。 【動画】飛行機か船でしか行けない、隠されたプーチンのもう1つの豪邸が初公開 戦況と同様、議論も停滞気味であり、ネットには悪口や誹謗中傷もあふれる。他にあるのは関心の薄れか。 そんな今だからこそ、ユーモアや風刺の力を大切にしたい。
筆者はこのたび、『世界のロシア人ジョーク集』(中公新書ラクレ)を上梓した。『世界の日本人ジョーク集』をはじめ、累計100万部を突破しているジョーク集シリーズの最新刊となる。いま世界で交わされている秀逸なジョークを集め、まるでマトリョーシカのような謎の国ロシアの中身に、風刺と笑いで迫った。 ロシアの詩人、フュードル・チュッチェフは、こう書いている。「知にてロシアは解し得ず」。だとするならば、小難しい学術論文よりも、ジョークを通じた鋭い風刺のほうが、理解への良きヒントになるかもしれない。 ジョークでかの国を、かの人を笑い飛ばそう。 ●天国 プーチンが国民への演説の場でこう語った。 「戦争など恐れることはない。なぜなら、愛国的ロシア人は皆、死んだら絶対に天国へ行けるのだから!」 その演説を聞いた天国側は、NATOへの加盟を申請した。 ロシアがウクライナへの侵略を始めて、はや2年ほど。もっとも、ロシア側の呼称は「特別軍事作戦」。その目的は「侵略」ではなく、自国の安全保障と、ウクライナの「ナチス」を打倒することだという。これはジョークか真実か。 ロシアには「舌の上にハチミツ、舌の裏に氷」という諺がある。「口先では良いことを言っていても、心は裏腹」という意味である。
長期化する戦争
開戦前のロシアの軍事予算は、ウクライナの約10倍。圧倒的な戦力差をもって、ウクライナ全土を一挙に占領するシナリオだった。 しかし、現実は思い通りに進展しなかった。祖国防衛で一丸となったウクライナと、それを支える欧米諸国の結束により、プーチンの目論見は外れた。 短期戦の見込みが崩れて長期戦に陥るというのは、歴史が伝える「定番のシナリオ」である。4年以上にわたり、約1000万人もの犠牲者を生んだ第一次世界大戦でさえ、当初は短期戦の予測のもとに始まった。支那事変(日中戦争)も然りである。 ●ライフル ウクライナ人の一家。居間で父親がライフルの掃除をしていると、学校から帰ってきた息子が言った。 「お父さん、先生が言ってたんだけど、ロシア人が宇宙に行ったんだって」 父親はライフルを机に置いて聞いた。 「全員?」 子どもが答えた。 「いや、3人くらいかな」 父親は再びライフルの掃除を始めた。 欧米諸国は「レオパルト2」や「M1エイブラムス」といった主力戦車をウクライナへ供与。レオパルト2はドイツが誇る主力戦車で、旧ドイツ陸軍が誇ったタイガー(虎)戦車の後継として、レオパルト(豹)と命名された。アメリカの第三世代主力戦車である「エイブラムス」は、第二次世界大戦時におけるバルジの戦いの英雄、クレイトン・エイブラムス大将に由来する。 一方、ロシア軍の戦車は、T-72やT-90など。T-72は被弾すると搭載している弾薬が誘爆を引き起こし、砲塔が高く吹き飛ぶため、「ビックリ箱」なる屈辱的な渾名を冠されている。 ●農村 ウクライナ東部のとある村。村長が言った。 「我が村は、今や世界で4番目の戦車保有数を誇る」 ●戦車大隊 問い・ウクライナからロシアに帰還した戦車大隊のことを何と呼ぶ? 答え・歩兵小隊