根室のロシア人船員向け案内センター閉鎖へ
30年以上にわたってロシア人船員らの案内所として開設されていた北海道根室市花咲港の「根室市インフォメーションセンター」が、今月末で閉鎖されることとなった。市内での買い物が主目的で上陸するロシア人船員が根室通いに慣れたこと、船員同士の口コミなどもあって近年の利用者は激減。さらにコロナ禍が追い打ちをかけた形で、2020年度以降の利用は1桁台で推移していた。 1991年2月、旧ソ連人の根室市内への立入規制緩和を受け、同年4月には23年ぶりにソ連船が入港。同船は戦後初のソ連からの活ガニ直輸入船だった。この年は83隻が入り、92年からは活ウニの輸入も始まったため、市内はロシア人船員であふれ、98年には1700隻超、年間延べ2万4663人(市港湾課まとめ)を数えた。 習慣の違いからトラブルも増えるなか、日ロ交流の拠点として92年8月、旧郵便局舎を活用した同センターがオープンした。当初は北方領土とのビザなし渡航も花咲港を利用していたため、同センターの利用は日ロ合わせて2000人台を数えた時期もあった。 同センターのロシア人利用も98年の1860人がピーク。2008年以降ロシア人船員の寄港は延べ4000人前後で推移するも、センター利用者は400人を切り、16年200人台、18、19年度は100人台となり、コロナの影響もあって昨年は年間2人。今年度は1月末現在8人が利用している。 独学でロシア語を学び、ロシア人船員との付き合いも長い和泉哲也さん(62)はセンターからのトラブルの仲裁要請を受けたことも思い出としながら、「道案内やバス時間、日本語訳などインフォメーションセンターの果たした役割は大きかった」と話している。 市は利用者減に加えて、旧郵便局舎の建物の老朽化と常駐職員が65歳で退職を迎えることもあり、閉鎖を決めた。閉館後は市北方領土対策課に専用回線を設けて、インフォメーション機能を維持する。