師弟扇子に揮毫した「夢」に込めた想いとは?豊島将之九段と弟子・岩佐美帆子女流1級が2023年を振り返る
愛知県一宮市出身の豊島将之九段と、弟子で岐阜市出身の岩佐美帆子女流1級が2023年を振り返った。初めてつくった“師弟扇子”に「夢」と揮毫した、師匠と弟子。豊島師弟が目指す2024年の“夢”とは?
豊島師弟の新年は指導対局で幕開け
新年1月2日、豊島将之九段と弟子・岩佐美帆子女流1級は、豊島九段の地元・愛知県一宮市で行われた毎年恒例の将棋イベントで指導対局を行っていた。イベントには、将棋関係者や女流棋士を目指す研修会生など約20名が参加。豊島師弟の丁寧な指導や感想戦に耳を傾け、少しでも強くなろうと新年から取り組んでいた。 時折、笑顔を見せながら、リラックスした表情でイベントを楽しんだ豊島師弟。イベント終了後、2023年への想いと2024年の目標について話を聞くことができた。
振り飛車など“今までにない”戦法で挑んだ2023年
2023年、「王座戦挑戦者決定トーナメントの決勝」で、藤井聡太竜王名人と王座挑戦をかけ争った豊島九段。タイトルに挑戦することは叶わなかったが、現在(2024年1月5日時点)、名人挑戦を決める「順位戦A級」にて、唯一の6戦全勝を記録しており、今もっとも“名人挑戦に近い棋士”と評されている。また、将棋番組の講座を担当したり、「振り飛車」など色々な作戦や戦型を用いて重要対局で勝利を収めるなど、豊島九段にとって2023年は“挑戦の年”となった。
2023年の対局で印象に残った1局について尋ねると、「1局は難しいですけど、“振り飛車”だったり、これまで指していなかった作戦や戦型を指せたのは良かったのかなと思う」と、将棋の戦法のひとつ”振り飛車”の実戦についてふれた。続けて、「成績とか内容は良かった時期もあったんですけど、最後の方は崩れて粘れなかったので、その辺は反省点かなと思っています」と、2023年の11月・12月の不調を振り返った。
師弟扇子に揮毫した文字は「夢」
現在、高校3年生の岩佐美帆子女流1級。すでに受験を終え、関西エリアの大学の文学部へ進学することが決まっている。文学部を選んだ理由は、心理学を学べるからだという。「大学2年生から本格的に学ぶことになると思うけど、将棋に少しでもつながる部分があればいいなと思って、心理学の専修を希望しました。大学で学んだことをこれからの将棋においても、繋げられるようにしっかり勉強していきたい」と学びへの意欲を語った。