春日部共栄’19センバツ 共栄サウンド響け 吹奏楽部、野球部と支え合う /埼玉
第91回選抜高校野球大会に出場する春日部共栄の吹奏楽部が、23日の初戦に向けて練習を重ねている。同部出身で顧問の織戸祥子教諭(30)をはじめ、部員は甲子園での演奏経験はないが、「共栄サウンドを響かせて選手たちの背中を押したい」と意気込む。 【熱闘センバツ全31試合の写真特集】 「応援歌、いきます!」。同校4階のホールで13日にあった吹奏楽部、野球部、ダンス部の合同応援練習。吹奏楽部員に指示を出すコンサートマスターの星野高輝さん(2年)が右腕を振り上げると力強い演奏が響いた。 吹奏楽部は野球部と同じ1980年創部。全日本吹奏楽コンクールに14回出場し、金賞を5回獲得した名門だ。野球部の試合で演奏に駆け付ける一方、野球部も演奏会に足を運ぶなど、両部は二人三脚で歩んできた。 吹奏楽部の小宮梨旺(りお)部長(同)は「お互いに応援しあってきた。センバツ出場が決まった瞬間は自分の事のようにうれしかった」と声を弾ませる。 球場で単に大きな音を響かせるのではなく、音色にこだわったきれいな音を奏でるのが共栄サウンドの特徴だ。織戸教諭は「爆音の演奏もあるが、きれいじゃない音は出したくない。音量と音色のバランスを取るのが難しい」と話す。 持ち曲は20曲以上あるが、部員たちから「一曲のクオリティーを上げよう」という声が上がり、甲子園では「サウスポー」など10曲程度に絞る。 目玉は埼玉をディスる(けなす)映画として人気を集めている「翔(と)んで埼玉」のエンディング曲で、お笑い芸人のはなわさんが歌う「埼玉県のうた」。保護者らから「ぜひ演奏してほしい」と要望を受けた。試合の各イニングで演奏曲を変えてアルプススタンドを盛り上げる。 同校が2005年夏の甲子園に出場した時に在学し2年生だった織戸教諭は、吹奏楽部のコンサートのためアルプスで応援できなかった。「クラスメートを応援できるのは最高の青春。生徒たちには音楽が誰かのためになることを感じてほしい」と力を込める。 小宮部長は「野球部は支え合う存在。共栄サウンドを響かせて、選手の力や励みになる応援をしたい」と誓った。【畠山嵩】