【円安進行】米金融市場、3月CPIを受けて「長期金利上昇・ドル高・株安」へ…今後の展望は?【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)が解説します。
●3月米CPIはインフレの根強さを確認する結果、FOMC議事要旨もインフレ動向を警戒する様子。 ●米市場は長期金利上昇、ドル高、株安で反応、円安進行も介入までまだ若干距離がある模様。 ●米利下げ予想は9月と12月に変更、利下げ遅延でもインフレを十分抑制できれば株安は一時的。
3月米CPIはインフレの根強さを確認する結果、FOMC議事要旨もインフレ動向を警戒する様子
米労働省が4月10日に発表した3月の米消費者物価指数(CPI)は、前月比で0.4%上昇、前年同月比で3.5%上昇し、いずれも市場予想(順に0.3%上昇、3.4%上昇)を上回りました。また、エネルギーと食品を除くコア指数は、前月比で0.4%上昇、前年同月比で3.8%上昇と、こちらも市場予想(順に0.3%上昇、3.7%上昇)を上回り、改めてインフレの根強さを確認する結果となりました。 CPIの発表後、米連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(2024年3月19日、20日開催分)を公表しました。議事要旨では、「ほぼすべての参加者が、経済が予想通りに幅広く進展すれば、今年のある時点で利下げの開始が適切と判断した」一方、「参加者は総じて、最近のデータはインフレ率が持続的に2%に向かって低下するとの自信を深めるものではないとの見方を示した」と、記されていました。
米市場は長期金利上昇、ドル高、株安で反応、円安進行も介入までまだ若干距離がある模様
3月の米CPIとFOMC議事要旨を受け、同日の米金融市場では早期利下げ期待が一段と後退し、米国債利回りは上昇、米ドルは対主要通貨で上昇、ダウ工業株30種平均などの主要株価指数は下落で反応しました。また、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げは、6月、9月、12月の3回から、9月の1回に減少しました(図表1)。 ドル円は一時、1ドル=153円24銭水準までドル高・円安が進行しましたが、政府・日銀によるドル売り・円買い介入の動きはみられませんでした。なお、前回、2022年9月22日、10月21日、24日にドル売り・円買い介入が実施された際、ドル円の変動率(ボラティリティ)は1週間で17%~19%台、1ヵ月で14%~15%でしたので、足元での水準を踏まえると(図表2)、介入まではまだ若干距離があるように思われます。
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