ヤマトから巨大移動要塞まで!『ヤマトよ永遠に REBEL3199』に登場するメカニック図鑑
「宇宙戦艦ヤマト」の劇場用映画第3作として制作され大ヒットを記録した『ヤマトよ永遠に』(80)を原作に、新解釈を加えて全七章(全26話)に再構成した「ヤマトよ永遠に REBEL3199」。その第一章となる『ヤマトよ永遠に REBEL3199 第一章 黒の侵略』が公開中だ。 【写真を見る】全部覚えてる?宇宙戦艦ヤマト(第3次改装型)をはじめとした、劇中で活躍するメカニックたち 物語の舞台はガミラス本星とイスカンダル星が消滅した事件から2年後の西暦2207年。突如として太陽系に出現した謎の巨大物体“グランドリバース”によって地球の新首都が制圧されるなか、人類の命運を賭けた宇宙戦艦ヤマトの航海が描かれていく。星間国家同士の抗争や、古代進と森雪に立ちはだかる試練など、あらゆる面でスケールアップを遂げた本作の見どころの一つは、やはりメカニックの数々。 そこで本稿では、劇中に登場するメカニックの数々を、公式ホームページの文言に準拠しながら「地球」「デザリアム軍」「ボラー連邦」の3つに分けて紹介していこう。 ■地球 ●宇宙戦艦ヤマト(第3次改装型:参戦章叙勲式典記念塗装) 「イスカンダル事変」の後、帰還したヤマトは多大な戦果をあげて無事帰還したことを記念して参戦章叙勲の運びとなる。それにあたり地球政府は、参戦章として主砲・副砲各砲身先端へ3本の線を施し、戦隊各部へ勲章をモチーフとした錨マークを与えた。この錨マークは宇宙海軍の徽章に参戦章叙勲の意味をとして3つの輪を加えたものとして作成され、ヤマトマーク(ヤマト徽章)とも呼称される。 ヤマトを記念艦とする話は出ていたが、波動砲艦隊構想の下で波動砲の再装備をはじめとする改装が行われ、ガトランティス戦役終結後も銀河間航海艦隊の旗艦を想定した改装が行われるなど、現役艦としての運用が続いていた。叙勲はヤマトの功績を讃えると同時にヤマトに第一線を退かせるというものでもあった。予備役艦隊に編入されたヤマトはその後、各種テストに用いられる予定だったが…。 ●アスカ級補給母艦アスカ 同型艦の量産をもって、アスカ級の艦級は軍組織内で制式なものになる。アスカはもともと制式には「ドレッドノート改アスカ級補給母艦」であったが、便宜的に「ドレッドノート改級」と呼ばれていた。これは後述のヒュウガと共にアスカが平和路線を謳う第4次防衛計画のもとに建造を進められた経緯による。量産にあたってアスカでは、あくまでも試験的に盛り込まれていた強襲揚陸艦としての機能を主体とした艦の建造も行われることとなった。 本来ならば強襲揚陸艦としての艦級が新たに設けられるところを第4次防衛計画の建前上、公式には補給母艦としてアスカ級の量産計画下で建造が進められた。このためアスカ級は補給母艦型を基本とし、強襲揚陸艦型が存在することに。また、補給母艦型であっても量産された艦は1番艦のアスカと内部構造に違いが存在する。たとえば、アスカは40m級の航宙機や宇宙艇の艦載を想定し、船体に大きな格納スペースを持っていたが、量産型では廃されている。なお、識別番号は奇数番号が補給母艦型、偶数番号が強襲揚陸艦型として割り振られている。 ●ヒュウガ級戦闘母艦ヒュウガ ヒュウガの同型艦の建造が開始されたことで、軍組織内でヒュウガ級の艦級が制式に設けられることとなった。ヒュウガはもともと制式には「ドレッドノート改ヒュウガ級戦闘空母(戦闘航空間機母艦)」であったが、便宜的に「ドレッドノート改級」と呼ばれていた。これはアスカと共にヒュウガが平和路線を謳う第4次防衛計画の下に建造を進められた経緯による。 アスカと共に平和路線を謳う第4次防衛計画の下に建造を進められたヒュウガであったが、ボラー連邦から頻繁に領海侵犯を受けている現状のなか、地球防衛軍の防衛方針も玉虫色のものとならざるを得なかった。アスカの同型艦量産にあたって、強襲揚陸艦型を補給母艦の区分のもとに建造しているように、ヒュウガの2番艦建造と新たに設けられたヒュウガ級の艦級は、地球防衛軍の現実的な対応の一つであった。 ●波動実験艦 銀河 波動実験艦銀河は月の復興作業での役割を終え、現在は旧土星軌道の<歎きの海>で土星修復作業にあたっている。かつて、ガトランティス艦隊と地球の波動砲艦隊の間で激しい戦闘が繰り広げられた土星沖の海域は、ガトランティスの反物質を利用した大型ミサイルと、地球側の波動砲の応酬、さらには相転移次元跳躍によって現れた白色彗星によって甚大な被害を受けた。 ●アンドロメダ級宇宙戦艦アルフェラッツ アルフェラッツは有人型として設計、完成された初期アンドロメダ級の21番艦。熾烈を極めたガトランティスとの戦いを潜り抜け、無傷で残ったアンドロメダ級は極めて少なく、アルフェラッツも戦後、大規模な修繕を受けることとなった。 ●ドレッドノート級火星迷彩仕様 第28護衛隊の一隻。火星の大地の色である赤を主体とした塗装を艦艇に施す迷彩は、火星自治政府宇宙海軍が採用したことがはじまりとされている(当時、テラフォーミングの途上にあった火星はまだ赤い大地を多く残していた)。 ●試製次元潜航艇 コスモハウンド 通常の宇宙空間と亜空間を往還し、両空間で航行可能な特殊艇で、両領域をまたぐ観測・索敵が可能。次元潜航技術はガミラスにおいて実用化されたものが技術供与の形で地球側へもたらされた。安定翼内には次元境界面の突破と潜航のため、次元潜航艦同様、多次元位相バラストタンクが装備。緊急時にはこれを強制排除し、通常空間へ浮上できる。本体と安定翼に分離する構造は、コスモハウンドが多目的輸送艇構想をベースとして開発されたことによる。「イスカンダル事変」で実戦投入され、その有用性を証明した。 ●空間汎用輸送機 SC97 コスモシーガル 国連宇宙海軍時代から運用される双ブーム型ティルトウィング式多目的輸送機。エンジンを装備した主翼を90度回転させて垂直離着陸を行ない、戦闘員や物資の輸送、対潜哨戒任務などに使用される。地球クラスの惑星表面と軌道上の往還機能を備えることから地球各軍のみならず、宇宙海軍でも運用され、ヤマトや銀河にも艦載機として搭載されている。 ●5式空間機動甲冑 2205年に制式化された機動甲冑は、2207年現在も空間騎兵隊の主力装備として運用されている。空間騎兵隊は歩兵(海兵)であり、機動甲冑の兵装は任務・作戦により適宜、変更される。空間騎兵隊そのものは組織的には地球連邦宇宙軍麾下の地球連邦宇宙海兵隊に管轄されるが、実際の作戦においては宇宙海軍など各軍と連携する。 ●無人艦隊コマンド艦 グラディエーター 制限型自律防空システムの中核であるコマンド艦。小型の無人迎撃艦エイジャックスを操艦、制御する。後述のエイジャックスとは異なり、有人で運用されるが、操艦のための機能はすべて艦橋に集約され、極小人数での運用が可能とされている。空軍は本艦と随伴する迎撃艦に戦闘機的な一撃離脱戦法での運用を想定していたため、本艦は宇宙海軍の艦艇を凌ぐ高い機動性、運動性を有する艦として開発、建造されることとなった。 ●無人艦隊迎撃艦 エイジャックス 制限型自律防空システムで運用される小型の無人迎撃艦。コマンド艦であるグラディエーターから操艦される。「ひよどり(Bulbul)」のコードネームが割り当てられ、総数49隻がグラディエーターに随伴、艦隊を構成する。制限型自律防空システムは各惑星の防空戦力として構想されているが、空軍戦力との連携を視野に収めていることもあり、本艦の惑星の大気圏内での運用は基本的には想定されていない(大気圏内の飛行自体は可能であり、大気圏内外の往還機能も有する)。 ●1式空間戦闘攻撃機 コスモタイガーII 波動砲艦 隊構想に基づく次期主力艦載機戦術戦闘攻撃機計画「CT計画」のもと、開発、制式された本機は2202年より生産、配備が進められた。2207年現在、地球防衛軍の主力戦闘機となっている。ガミラス戦争時の国連軍時代より使用されていたコスモファルコンよりも、格段に向上した攻撃力、格闘性能を持つことから、宇宙軍以外の地上各軍でも順次、本機への置き換えが進められた。地上配備のコスモタイガーIIは大気圏内の運用に主機と各部を調整されている。 ■デザリアム軍 ●グランドリバース デザリアムの巨大移動要塞。デザリアムの地球制圧作戦の司令基地の役割を担っている。触手状のプローブを複数持ち、各部に武装を備えるほか、ゴルバ同様に位相変換装甲を有する。 ●プレアデス級攻勢型戦艦 地球制圧作戦の主力戦艦として配備されている。位相変換装甲を備えるが、防御力は出力の関係からプレアデス改級攻勢型戦艦より若干劣る。 ●ヒアデス級護衛艦 地球制圧作戦の艦隊に配備されている。プレアデス級攻勢型戦艦よりも攻撃力、防御力は劣るものの、小回りの効く高い運動性能を活かした運用が行われている。 ●タイゲタ級大型輸送艦 兵器や物資のみならず、人員の輸送にも使用されるデザリアムの大型輸送艦。船体上部の艦首部分に1基、中央部分に2基の艦橋を有する。艦首には艦載機の発進口を備える。艦載機格納庫の後ろには掃討三脚戦車ガバリアや殲滅多脚戦車ガーム・ビゥなどの地上制圧用の兵器が収納されている。これらは船体下部に並ぶ大型ハッチから発進する。また、このハッチは輸送艦内部に収容した物資、人員などの搬出にも利用される。 ●掃討三脚戦車ガバリア 地球制圧の地上戦力として投入されている。上部に触角状の大型ビーム砲を装備する。 ●殲滅多脚戦車ガーム・ビゥ 地球制圧の地上戦力として投入され、主に対人制圧用に運用されている。上部に触角状の小型ビーム砲を装備する。 ●襲撃戦闘機カタピラス 惑星制圧仕様 イスカンダル移送のために派遣されたメルダースの艦隊で運用された襲撃戦闘機カタピラスを、今次作戦にあたって改装した機体。新たに、地球制圧に投入されるガバリアやガーム・ビゥ同様に触覚状のビーム砲を装備している。 ■ボラー連邦 ●ガノンダ型航宙母艦 主力航宙母艦。艦隊旗艦として運用されることが多い。永久管理機構の28号計画で建造され、就役した。計画番号からクロトガ型標準戦艦、アマンガ型ミサイル戦艦よりも後に計画された艦とわかる。ガノンダはボラー語で「愛国心」を意味する。艦載機としては2207年時点ではレブートを搭載する(地球ならびにガルマン・ガミラス側からは「IK-301」の型式番号で分類されている)。政治将校ボローズの指導の下、地球の領海侵犯を行った艦隊の旗艦、ガノンダ型航宙母艦は「ラブロコフ」の艦名を持つ(ラブロコフは「栄誉を司る者(船)」の意)。 ●クロトガ型標準戦艦 「A型」として分類されていた戦艦。クロトガはボラー語で「英雄的な行動」を意味する。永久管理機構の立案実施した13号計画では安定した性能を持つ「標準」型戦艦の量産が企図され、この要請に応える傑作艦として現在でもボラー連邦を主力艦として建造が続けられ、第一線に配備されている。また、本艦の同型艦が火星に漂着、火星自治政府はこれを発見、解析することで新型宇宙戦艦を建造した。後にこの技術は地球側も知るところとなり、国連宇宙海軍の艦艇に大きな影響を及ぼした。 ●アマンガ型ミサイル戦艦 「B型」として分類されていた戦艦。アマンガはボラー語で「大破壊」を意味する。永久管理機構の立案実施した15号計画で、先の13号計画で進められていた「標準」型戦艦を支援する、高い攻撃力を持つ戦艦として建造された。クロトガ型標準戦艦同様、確かな設計に裏付けられた本艦はボラー連邦の主力艦のひとつとして配備され続けている。なお、運用されるミサイルは15号計画終了後も更新されており、後に建造された艦は初期に就役した艦と仕様に若干の違いが存在する。 これらのメカニカルデザインを担当したのは、前作「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち」につづいて玉盛順一朗、石津泰志、明貴美加の3名。次回作『第二章 赤日の出撃』は、11月22日(金)に公開となるが、人類の命運を賭けて未到の時空へと進んでいく宇宙戦艦ヤマトに待ち受けるものとはいったい…。ここから始まる全七章の壮大な航海と緊張感みなぎる激戦に乞うご期待! 文/久保田 和馬