「シナノキ」新たな巨木確認 市指定天然記念物上回る大きさ 文化財指定は? 岩手・釜石市
特集です。岩手県釜石市指定の天然記念物に「和山のシナノキ」という巨木があります。この春、その天然記念物に指定されているシナノキよりもさらに大きい木が見つかり、新たな文化財になるか注目されています。 広大な岩手県のおよそ77パーセントを占める森林。自然豊かな県内各地には、樹齢の長い巨木が数多く存在し、貴重な樹木は文化財に指定され、保護されています。 このうち、釜石市では市内西部、栗林町で古くからご神木としてまつられてきた「明神かつら」など8件が市の天然記念物に指定されています。 こちらは世界遺産・橋野鉄鉱山で知られる市内橋野町和山高原の「和山のシナノキ」です。高さおよそ10メートル、幹の周りおよそ5メートル、樹齢400年以上のこの巨木は1969年、市の天然記念物に指定されました。しかし、ここ和山高原で「和山のシナノキ」を上回る巨木がこの春、新たに見つかり、調査が開始されました。 今週、釜石市と市の文化財保護審議会が新たに見つかった「シナノキ」に文化財パトロールに向かいました。 案内したのは、釜石観光ガイド会の小笠原明彦事務局長です。小笠原さんは4月、土地を所有する団体から情報を聞き、初めて現地を確認しました。シナノキが見つかった場所は市道からおよそ3キロ林道を車で走り、徒歩で20分の標高761メートルの高原地帯。歩き続けていると林の中にひと際大きい木が見えてきました。 参加者「すごいねー、びっくり」 目の前に現れたシナノキ。高さは目測でおよそ20メートル。根本の周りは8.29メートル。樹齢およそ300年と推定されます。市の天然記念物「和山のシナノキ」の倍近い大きさを誇る巨木です。 釜石観光ガイド会 小笠原明彦事務局長 「いきなり目の前に出てきたんで、(4月は)緑も雪もなくてその中で手を広げて『待ってました』みたいな感じを受けました」 6月に行われた調査では葉が生い茂り、生き生きとした姿をみせていましたが…、 訪れたこの日、葉は散っていました。それでも、かえって「シナノキ」その物の大きさが際立っていました。 まだ調査が始まったばかりですが、視察に訪れた人たちは、その大きさに圧倒され、「ぜひ多くの人に見てもらいたい」と話しています。 釜石市文化財保護審議会 市川淳子委員 「想像以上の出来事を目の当たりにして、みんなに見ていただきたいなと思っています。この感動をいっぱいいっぱい皆さんに広めたい」 釜石市文化振興課 手塚新太課長補佐 「こんな大きな木が今まで知られずに残っていたということに本当に感動しました。天然記念物たくさんあるので、もっと自然と親しみながら皆さんが楽しめるような形を取っていければ」 釜石市文化財保護審議会では今後、文化財指定の候補物件として検討を進めていくほか、トレッキングなどで一般の人が見学できないか検討することにしています。