発がん性が指摘されるPFASの除去技術を実用化へ 静岡市が企業提携!でも費用はだれが負担する?
費用を誰が負担するかは「決めてない」
新技術によるポンプ場での汚染除去費用を、静岡市はMCFに求めていくのか。会見で、まっさきに質問が飛んだ。 難波市長は「まだ実証実験段階なので、費用負担を誰がするのかっていうことはまだ決めておりません」と言い、直接の言及を避けた。 仮に汚染の原因者に全額を負担させないとなれば、市民の税金を充てることになる。しかも、浄化対策は今後、長期に及ぶ。 3カ月ほど前、難波市長は私のインタビューに対して、清水工場によるPFOA汚染は「公害」との認識を示し、汚染対策費については補償を求める法的措置の可能性にも言及したうえで、「これを市の税金でやりますと言ったら、社会的には誰も納得しないですよね」と語っていた。 ところが、その9日後、MCFの丸山剛社長に面会すると、「もう、公害とは言わない」。あっさりと前言を翻し、汚染原因者との協調路線へ舵を切ったのだった。
それだけに、私は確かめずにはいられなかった。「汚染除去の費用を原因者に求めないこともありうるのでしょうか」。会見でそうたずねると、難波市長は次のように答えた。 「今もこの会社とは非常に良い関係を持ってコスト負担をしていただいています。問題解決に向けてお互いに一緒にやっていきましょうというような形でですね、その中で自然にどう負担をしていくのかっていうことが決まってくると思っています。『原因者だから負担しろ』みたいな言い方ではなくて、お互いの理解のもとで問題解決に結びつけていくのが大事だと思っております」 PFOAによる汚染はなぜ、いつから、どのようにもたらされてきたのか。 PFOAに代わる代替物質はいまも排出され続けているのではないか。 二つの問いに答えを出す必要はない。汚染除去が進みさえすれば問題はないだろう――。 みずからの責任を公的に認めようとしない企業と密室で話を進める難波市長の回答は、そう言っているようにも聞こえた。 筆者:諸永裕司(もろなが・ゆうじ) スローニュースで『諸永裕司のPFASウオッチ』を毎週連載中。(https://slownews.com/m/mf238c15a2f9e) ご意見・情報提供はこちらまで pfas.moro2022@gmail.com
諸永裕司