アカデミー賞最多7冠『オッペンハイマー』今こそ見るべき理由とは?
発見、感動、思索……知的好奇心を刺激する、映画好きな大人のための今月の新作を厳選! 【写真】今月見るべき話題の新作映画
"原爆の父"が味わう栄光と、その後に背負う罪の重さ──『オッペンハイマー』
クリストファー・ノーラン監督による映画『オッペンハイマー』は、昨夏、欧米をはじめ各国で公開され、1300億円を超える興行収入で世界的大ヒットを記録。3月11日に開催の第96回アカデミー賞では最多13部門でノミネートされ、作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞など合計7部門で受賞を果たした。 "#Barbenheimer(バーベンハイマー)" 騒動後、公開が先送りされ続けた日本でも、ついにその全貌が明らかにされるときがきた。 第二次世界大戦中、アメリカ軍から、ナチスより先んじて原子爆弾の開発を託されたドイツ系ユダヤ人の天才物理学者が味わう栄光と悲劇。
ノーラン監督作の常連キリアン・マーフィーが、開発に取り憑かれた物理学者オッペンハイマーを演じきる。またロバート・ダウニー・Jr.、マット・デイモンなど、主演級の俳優勢が群像劇を彩る
主演キリアン・マーフィーが"原爆の父"であり、開発に取り憑かれ、悪魔の兵器というパンドラの箱を開けてしまった男の葛藤を演じ切る。 ルドウィグ・ゴランソンの見事なサントラを効かせながら、脂の乗り切った鬼才ノーランが観客の緊張の糸を操り続ける3時間。天界の火を盗んで人類に与え、ゼウスの怒りに触れて磔になったギリシア神話のプロメテウスのごとく、人類の未来を変えてしまったことから重い十字架を背負ったオッペンハイマー。 核戦争の恐怖と隣り合わせで生きる我々は、核兵器もまた恐怖から生まれた産物であると本作を通して気づくだろう。
実験成功時には喝采を浴び一時の達成感を味わうが、それが兵器として日本に投下され壮絶な被害を及ぼしたことを知ると…… 『オッペンハイマー』 3 月29日(金)より全国ロードショー BY REIKO KUBO