「クマが出た!」怖がってばかりでは解決せず! 「クマ・トランクキット」を活用して熊の生態を正しく知る
ツキノワグマ、ヒグマともに出没・人身被害が史上最悪
今年度、本州におけるツキノワグマによる人身被害の数は昨年度の2倍以上と、過去最悪の状況です。ヒグマの棲息地、北海道でも市街地での出没件数が増えるなど、その被害が毎日のように報告されています。 【写真】クマの生態を正しく知るための「クマ・トランクキット」を見る(全7枚) 私たちは、ニュースで見聞きするたびに「クマは怖い」という恐怖心だけが増幅してしまいます。クマは決して人を襲うために人里にあらわれるわけではありません。クマと人の距離が近くなってしまった今、人がクマの生態や安全対策について正しい知識を持っておくことで、大きな事故を防ぐことができる場合もあります。
クマの標本などがぎっしり入った「クマ・トランクキット」
そこで「クマを知ろう」という観点から、学校や一般の人向けに製作された、啓発グッズがあるのでご紹介しましょう。まずはクマ教育キット「クマ・トランクキット」です。 これは、日本における人間とクマ類との共存を図るために活動や調査などを行う団体「日本クマネットワーク」が行っているもので、クマに関する品々がぎっしり詰まったトランクの貸し出しです。トランクはヒグマとツキノワグマの2種類。 中身はというと頭骨、足跡シート、クイズシート、子グマのぬいぐるみ、毛皮、前後足剥製、乾燥フン標本、木の実サンプル、クマ撃退スプレーなど。標本類と、調査道具やクマ対策のための道具など、クマに関するさまざまなものが揃っています。
クマを間近で体感できるガイド付きの教材
例えばヒグマトランクにある、体重数100kg台のヒグマの毛皮。床に広げてその大きさや、"毛"を観察することができます。また、冬眠から出てきたころの体重5kgの子グマを再現したぬいぐるみなど、よりヒグマを実感・体感できる品々ばかり。 クマの知識がない人でもプログラムを行うことができるように「ティーチャーズガイド」が入っているので、興味のある人なら誰でも利用することができます。貸し出しは2週間で、日本クマネットワークのHP内、貸し出しフォームから申し込むことができます。
ヒグマのことが全部わかる「ヒグマノート」
もうひとつのクマ啓発グッズは、北海道でヒグマフォーラムなどを開催する団体「ヒグマの会」が発行した「ヒグマノート」(税込300円※送料別)。B5のノートサイズで、かわいいイラストとともに、ヒグマの生態などをわかりやすく解説した小冊子です。 内容はヒグマの形や一生、食べ物や行動範囲、ヒグマから身を守る方法、それでもヒグマに出会ってしまった場合どうしたらよいかなど、ヒグマを理解し共存するための情報が満載です。 ヒグマの遭遇に関して、さらに詳しい対処法などをまとめた冊子もあります。それは、北海道の知床財団で取り扱いがある「ヒグマとの遭遇回避と遭遇時の対応に関するマニュアル(第2版)」(税込550円 ※送料別)。知床自然センターでの販売ほか、ネットショップでも購入することができます。また知床財団では「クマ・トランクキット」の貸し出しも行っています。
兼子梨花